こんなに役立つ皮膚科エコー

しこりに潜むのは腫瘍だけじゃない! 一般外来から在宅まで

こんなに役立つ皮膚科エコー

■編集 清島 真理子
渡邉 恒夫

定価 3,960円(税込) (本体3,600円+税)
  • A5判  172ページ  オールカラー,写真200点
  • 2017年6月9日刊行
  • ISBN978-4-7583-1598-2

皮膚病変はエコーでここまでわかる! 腫瘤の存在判断から,術前の切除範囲や深達度の評価まで

近年,運動器領域や軟部腫瘍の画像診断に超音波検査(エコー)が用いられるようになり,MRIと同等もしくはそれ以上の高分解能の画像で軟部組織を観察できることから,確立された診断法となりつつある。以前では心臓や腹部領域が主流であったが,機器の進歩とともに,骨,軟骨,筋,腱,靱帯,末梢神経,血管のすべてを評価することができるという点においても,今後さらに普及していくと思われる。皮膚科領域においても,エコーは無侵襲検査であることに加え,CTやMRIに比べ医療費を安く抑えることができるため,現在注目を集めている。加えて腫瘤の存在診断や,術前の切除範囲や進達度の評価などが簡単にできることからもその期待度は計り知れない。しかしながら,乳腺や甲状腺などの表在腫瘤に比べ,皮膚科領域に関するエコーに特化した書籍はなく,臨床の場で診断に苦慮するケースは少なくないのが現状である。
そこで本書では,皮膚科領域のエコーの撮り方,読み取り方等をコンパクトにまとめ,実臨床でエコーが役立てられるようになる方法を紹介する。


序文

 皮膚科診療において,「眼でみること」と「触ること」は重要な情報源である。最近ではダーモスコピーも有力な診断ツールとなってきたが,表在性変化が中心である。ある深さをもった病変の情報,すなわち垂直方向の皮膚疾患を捉えるツールとして超音波検査は簡便かつ低侵襲で,しかも豊富な情報量を得られる点から有用と考えられる。
 皮膚科領域の超音波検査(エコー)は1990年代から行われ20年以上の歴史があり,欧米ではAltmeyerらによる成書「Ultrasound in Dermatology」が1992年に発行されている。欧米の報告では,悪性黒色腫の深さ,予後判定法,基底細胞癌をはじめとした種々の皮膚腫瘍の補助診断法あるいは血管性病変の評価法として有用性が報告されている。しかし,症例報告はあるものの,網羅的に勉強できる教材が少ない点が,エコーが広く普及しない原因の一つと考えられる。
 そこで,本書でははじめに一般的なエコーの基礎を説明し,後半は自験例を例に種々の疾患でのエコー所見を紹介したい。すなわち,まず皮下結節・腫瘤か否かを判断し,次に触診で硬い腫瘤,軟らかい腫瘤,あるいは血管系病変かを鑑別する。これに当てはまらない爪下,関節,褥瘡病変も加えて,エコー所見を参考に臨床診断に至るプロセスを考えアルゴリズムを作成した。
 皮膚科エコーは施設によって皮膚科医自身が行う場合も臨床検査技師が行う場合もあるが,画像を客観的データとして情報共有するために,再現性,普遍性が必要である。本書は皮膚科専門医と,諸臓器のエコーに携わる臨床検査技師とのコラボレーションとして生まれた点がユニークで,両者はもちろんのこと,一般医,家庭医,整形外科医の先生方や看護師の皆さんにも,身近において役立つ1冊となることを切に願う次第である。日常診療のレベルアップのために活用していただけるとともに今後の超音波検査学の発展に寄与できれば幸甚である。

2017年5月
著者を代表して
岐阜大学医学部皮膚科教授
清島真理子
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目次

■基礎編
01 皮膚科エコー
 1. 皮膚の構造
 2. 皮膚科エコーのアルゴリズム
 3. エコーによる病変の評価方法

02 エコーの基礎知識
 1. 超音波とは
 2. 周波数の違いとは
 3. 超音波分解能
 4. 基本表示モード

03 エコーに必要な基本手技
 1. プローブ
 2. 装置の調整
 3. エコー検査施行に際しての注意点
 4. プローブの持ち方
 5. プローブの走査法
 6. 画面の表示

■実践編
01 皮下結節・腫瘤─硬い腫瘤
 1. 石灰化病変
  Case 1 石灰化上皮腫
  Case 2 皮膚石灰沈着症
  エコー所見の比較:石灰化上皮腫 vs 皮膚石灰沈着症
 2. 異物
  Case 1 鉛筆芯
  Case 2 ガラス片
  エコー所見の比較:鉛筆芯 vs ガラス片
 3. 頸部病変
  Case 1 異所性胸腺
  Case 2 反応性リンパ節腫大
  Case 3 転移性リンパ節腫大
  エコー所見の比較:反応性リンパ節腫大 vs 転移性リンパ節腫大
 4. 皮膚腫瘤(黒色調)
  Case 1 悪性黒色腫
  Case 2 基底細胞癌
  エコー所見の比較:悪性黒色腫 vs 基底細胞癌
 5. 皮膚腫瘤(その他)
  Case 1 皮膚線維腫
  Case 2 皮膚偽リンパ腫
  Case 3 Spitz 母斑
  エコー所見の比較:皮膚偽リンパ腫 vs Spitz 母斑
  Case 4 明細胞肉腫
  エコー所見の比較:明細胞肉腫 vs 炎症性表皮嚢腫
  Case 5 神経鞘腫
  Case 6 有棘細胞癌
  Case 7 脂漏性角化症
  エコー所見の比較:有棘細胞癌 vs 脂漏性角化症

02 皮下結節・腫瘤─軟らかい腫瘤
 1. 皮膚腫瘤
  Case 1 脂肪腫
  Case 2 神経線維腫
  Case 3 表皮嚢腫
  Case 4 毛巣洞
  エコー所見の比較:脂肪腫 vs 神経線維腫 vs 表皮嚢腫
  エコー所見の比較:表皮嚢腫 vs 毛巣洞
 2. 皮膚外病変
  Case 1 腹壁ヘルニア
  Case 2 椎間関節嚢腫
  エコー所見の比較:腹壁ヘルニア vs 椎間関節嚢腫 vs 脂肪腫
 
03 皮下結節・腫瘤─血管系病変
 1. 血管系病変
  Case 1 毛細血管拡張性肉芽腫
  Case 2 動脈瘤
  Case 3 巨細胞性動脈炎
  Case 4 血栓性静脈炎

04 その他
 1. 爪下病変
  Case 1 グロムス腫瘍
  Case 2 ガングリオン
  エコー所見の比較:グロムス腫瘍 vs ガングリオン
 2. 関節病変
  Case 1 化膿性腱鞘炎
  Case 2 腱鞘滑膜炎
  エコー所見の比較:化膿性腱鞘炎 vs 腱鞘滑膜炎
 3. 褥瘡
  Case 1 褥瘡
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