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基礎理学療法概論

定価 4,400円(税込) (本体4,000円+税)
- B5判 224ページ 2色(巻頭カラー),イラスト50点,写真150点
- 2018年1月27日刊行
- ISBN978-4-7583-1921-8
序文
監修の序
本書を開こうとする読者は理学療法を志し,はじめての専門領域に一歩を踏み入れようとしている方々であると思います。皆さんが「理学療法」を知るようになったきっかけは何だったでしょうか? いろいろなスポーツ,部活動などで自分自身が怪我をして理学療法を受けた経験,家族や親戚が病に倒れ,その看病やリハビリテーションにかかわった経験,あるいは障害をもった人達とのボランティア活動への参加,などさまざまな契機があると思います。おそらく最初は「人の役に立ちたい」という漠然とした思いを抱き,そして徐々に理学療法という分野・領域が自分に合っている,やってみたいという気持ちを高め,多くの情報から選択し比較的困難な受験勉強を乗り越えてたどり着いたのではないでしょうか。
しかしここはゴールではありません。
これから始まる長い道のりのスタートラインなのです。
理学療法に限りませんが医療関係職は,資格取得(国家試験に合格)するまではもちろん,その後も絶えず進歩する医科学に対応するため,ずっと学習を継続することが求められています。自分自身が疾病や障害をもったとき,どのような人たちに診てもらいたいと思うでしょうか。言うまでもなく,最良で最新の知識・技術をもった人に治療してもらいたいと考えることは当然です。このような学習継続の源流となるのが,本書でこれから記載される「基礎」理学療法なのです。例えば「英語」を修得しようとするとき,アルファベットや単語の理解なしには到底前進できないように,理学療法を学ぶにあたっても「基礎」をまず十分に理解することが必要です。実は,理学療法のカバーする領域は,疾患・障害でいえば新生児,成人,高齢者の各年代において神経系,骨関節系,呼吸循環系などとても幅広いのです。さらにそれらに対応する技術の点でも多くの手法・治療法が考案されており,一口に「基礎」といってもすべてを網羅することは難しいのです。
本書は,このような「基礎」の中でも欠くことのできない領域,項目で構成され,内容は簡明でわかりやすさを主眼において記述したため,上述のようにすべての知識を詰め込んだものではありません。むしろ本書に触発されてさらに発展的に調べ,その意義を検討し,主体的に学習することを期待するものです。本書を手掛かりとした継続的・主体的学習の向こう側に,理学療法の楽しさ,やりがい,そしてまさに「人のために役立つ」よろこびが得られるとすればこんなにうれしいことはありません。
2017年12月
首都大学東京
網本 和
-----------------------------------------
編集の序
理学療法学科に入学してきた学生が最初に学ぶ専門科目は,理学療法,理学療法士の資格や仕事を学ぶ“理学療法概論”あるいは“基礎理学療法学”などと称する科目です。今や理学療法士の仕事や専門性は“医療”,“医師の指示の下で”,“身体機能回復”という従来の枠組みには収まらず,多様な疾患,病期,施設,分野に理学療法士が従事しているのが現状です。それをわかりやすく伝え,理解してもらうことが,理学療法のスタートラインに立った学生たちに必要ではないかと思います。
学生たちに「理学療法士を目指してくれるみんなを歓迎します」,「理学療法士の世界にようこそ」と胸を張り,自信をもって迎えてあげる,学生も「理学療法士を目指し,入学してよかった」,「理学療法士は自分が思っていたよりもさらに多方面に活躍の場があり,いろいろな分野の知識・技術を学んでいくことが楽しみだ」と目を輝かせて90分の授業時間に臨んでくれる授業にするためには,難しい定義や歴史よりも多様な理学療法士の世界を冒頭で紹介したい,それも写真や図表を積極的に活用して実際の場面がイメージできるようにしたいとの思いを抱いていました。そのような折,網本 和先生にご監修いただき,メジカルビュー社の多大なるご理解とご協力により,本書を刊行することができました。担当者として企画と編集にご尽力いただきました北條智美氏,間宮卓治氏はじめメジカルビュー社の方達に深謝いたします。
また,本書にはもうひとつ願いを込めました。本書を企画・作成した2017年には,「理学・作業療法士学生,指導役と相次ぐトラブル 養成課程・実習環境,見直しへ」との新聞報道がありました。そこで,実習で過大な精神的・身体的ストレスを抱え込み,メンタル面の変調を来すといった学生が,もう二度と現れないことを願って,本書には臨床実習の章を設けました。
夢と希望をもって入学し,理学療法士への道をスタートした学生たちにとって,その道のガイドとなり,理学療法・理学療法士をより理解し,これからの学習を楽しみにしてくれる,実習に対する不安を期待に変えてくれる,そんな動機付けに本書が役立ってくれることを執筆者一同,心より願っています。そして,いずれ同じ理学療法士として,多くの人たち,さらには社会に貢献できる日を迎えることを楽しみにしています。
2017年12月
了德寺大学
加藤宗規
本書を開こうとする読者は理学療法を志し,はじめての専門領域に一歩を踏み入れようとしている方々であると思います。皆さんが「理学療法」を知るようになったきっかけは何だったでしょうか? いろいろなスポーツ,部活動などで自分自身が怪我をして理学療法を受けた経験,家族や親戚が病に倒れ,その看病やリハビリテーションにかかわった経験,あるいは障害をもった人達とのボランティア活動への参加,などさまざまな契機があると思います。おそらく最初は「人の役に立ちたい」という漠然とした思いを抱き,そして徐々に理学療法という分野・領域が自分に合っている,やってみたいという気持ちを高め,多くの情報から選択し比較的困難な受験勉強を乗り越えてたどり着いたのではないでしょうか。
しかしここはゴールではありません。
これから始まる長い道のりのスタートラインなのです。
理学療法に限りませんが医療関係職は,資格取得(国家試験に合格)するまではもちろん,その後も絶えず進歩する医科学に対応するため,ずっと学習を継続することが求められています。自分自身が疾病や障害をもったとき,どのような人たちに診てもらいたいと思うでしょうか。言うまでもなく,最良で最新の知識・技術をもった人に治療してもらいたいと考えることは当然です。このような学習継続の源流となるのが,本書でこれから記載される「基礎」理学療法なのです。例えば「英語」を修得しようとするとき,アルファベットや単語の理解なしには到底前進できないように,理学療法を学ぶにあたっても「基礎」をまず十分に理解することが必要です。実は,理学療法のカバーする領域は,疾患・障害でいえば新生児,成人,高齢者の各年代において神経系,骨関節系,呼吸循環系などとても幅広いのです。さらにそれらに対応する技術の点でも多くの手法・治療法が考案されており,一口に「基礎」といってもすべてを網羅することは難しいのです。
本書は,このような「基礎」の中でも欠くことのできない領域,項目で構成され,内容は簡明でわかりやすさを主眼において記述したため,上述のようにすべての知識を詰め込んだものではありません。むしろ本書に触発されてさらに発展的に調べ,その意義を検討し,主体的に学習することを期待するものです。本書を手掛かりとした継続的・主体的学習の向こう側に,理学療法の楽しさ,やりがい,そしてまさに「人のために役立つ」よろこびが得られるとすればこんなにうれしいことはありません。
2017年12月
首都大学東京
網本 和
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編集の序
理学療法学科に入学してきた学生が最初に学ぶ専門科目は,理学療法,理学療法士の資格や仕事を学ぶ“理学療法概論”あるいは“基礎理学療法学”などと称する科目です。今や理学療法士の仕事や専門性は“医療”,“医師の指示の下で”,“身体機能回復”という従来の枠組みには収まらず,多様な疾患,病期,施設,分野に理学療法士が従事しているのが現状です。それをわかりやすく伝え,理解してもらうことが,理学療法のスタートラインに立った学生たちに必要ではないかと思います。
学生たちに「理学療法士を目指してくれるみんなを歓迎します」,「理学療法士の世界にようこそ」と胸を張り,自信をもって迎えてあげる,学生も「理学療法士を目指し,入学してよかった」,「理学療法士は自分が思っていたよりもさらに多方面に活躍の場があり,いろいろな分野の知識・技術を学んでいくことが楽しみだ」と目を輝かせて90分の授業時間に臨んでくれる授業にするためには,難しい定義や歴史よりも多様な理学療法士の世界を冒頭で紹介したい,それも写真や図表を積極的に活用して実際の場面がイメージできるようにしたいとの思いを抱いていました。そのような折,網本 和先生にご監修いただき,メジカルビュー社の多大なるご理解とご協力により,本書を刊行することができました。担当者として企画と編集にご尽力いただきました北條智美氏,間宮卓治氏はじめメジカルビュー社の方達に深謝いたします。
また,本書にはもうひとつ願いを込めました。本書を企画・作成した2017年には,「理学・作業療法士学生,指導役と相次ぐトラブル 養成課程・実習環境,見直しへ」との新聞報道がありました。そこで,実習で過大な精神的・身体的ストレスを抱え込み,メンタル面の変調を来すといった学生が,もう二度と現れないことを願って,本書には臨床実習の章を設けました。
夢と希望をもって入学し,理学療法士への道をスタートした学生たちにとって,その道のガイドとなり,理学療法・理学療法士をより理解し,これからの学習を楽しみにしてくれる,実習に対する不安を期待に変えてくれる,そんな動機付けに本書が役立ってくれることを執筆者一同,心より願っています。そして,いずれ同じ理学療法士として,多くの人たち,さらには社会に貢献できる日を迎えることを楽しみにしています。
2017年12月
了德寺大学
加藤宗規
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目次
Ⅰ イントロダクション
1. 理学療法士の仕事 加藤宗規
2. 理学療法士の現状 加藤宗規
3. 理学療法士への道 加藤宗規
4. リハビリテーションにかかわる代表的な他職種 加藤宗規
5. 理学療法士に求められる接遇 加藤宗規
II 理学療法の対象の理解 -実例をみてディスカッションしよう
1. 脳血管障害(脳卒中)による片麻痺 加藤宗規
2. パーキンソン病,神経・筋疾患 大森圭貢
3. 小児疾患(脳性麻痺) 松田雅弘
4. 変形性股関節症,人工股関節全置換術,その他の整形疾患 岡安 健
5. 脊髄損傷による完全麻痺(対麻痺/四肢麻痺) 森田智之
6. 循環器疾患,呼吸器疾患 田屋雅信
7. 糖尿病 野村卓生
8. 老年症候群 山田 実
Ⅲ 理学療法の方法:評価と治療の基礎
1. 筋力 菅沼一男
2. 関節可動域(ストレッチを含む) 古川順光
3. バランス 沼尾 拓
4. 感覚・運動麻痺 内田 学
5. 疼痛 加藤宗規,杉原敏道
6. 義肢装具 磯崎弘司
7. ADL練習 山﨑裕司
Ⅳ 臨床実習
1. 臨床実習 加藤宗規
2. クリニカルクラークシップ 玉利 誠
Ⅴ 理学療法の歴史と制度
1. 理学療法の歴史 武内 朗
2. 物理療法と理学療法 菅原 仁
3. 地域包括ケアと理学療法(在宅) 浅川康吉
4. 日本と世界の理学療法(現状・教育制度) 堀本ゆかり
5. 理学療法の倫理 奥 壽郎,山野 薫
6. 診療報酬制度 千葉哲也
巻末付録
1. 理学療法白書 仙波浩幸
2. 国民の福祉の動向 酒井吉仁
3. 用語一覧-これだけは覚えよう 網本 和
4. 基礎医学英語 50+50選 加藤宗規
1. 理学療法士の仕事 加藤宗規
2. 理学療法士の現状 加藤宗規
3. 理学療法士への道 加藤宗規
4. リハビリテーションにかかわる代表的な他職種 加藤宗規
5. 理学療法士に求められる接遇 加藤宗規
II 理学療法の対象の理解 -実例をみてディスカッションしよう
1. 脳血管障害(脳卒中)による片麻痺 加藤宗規
2. パーキンソン病,神経・筋疾患 大森圭貢
3. 小児疾患(脳性麻痺) 松田雅弘
4. 変形性股関節症,人工股関節全置換術,その他の整形疾患 岡安 健
5. 脊髄損傷による完全麻痺(対麻痺/四肢麻痺) 森田智之
6. 循環器疾患,呼吸器疾患 田屋雅信
7. 糖尿病 野村卓生
8. 老年症候群 山田 実
Ⅲ 理学療法の方法:評価と治療の基礎
1. 筋力 菅沼一男
2. 関節可動域(ストレッチを含む) 古川順光
3. バランス 沼尾 拓
4. 感覚・運動麻痺 内田 学
5. 疼痛 加藤宗規,杉原敏道
6. 義肢装具 磯崎弘司
7. ADL練習 山﨑裕司
Ⅳ 臨床実習
1. 臨床実習 加藤宗規
2. クリニカルクラークシップ 玉利 誠
Ⅴ 理学療法の歴史と制度
1. 理学療法の歴史 武内 朗
2. 物理療法と理学療法 菅原 仁
3. 地域包括ケアと理学療法(在宅) 浅川康吉
4. 日本と世界の理学療法(現状・教育制度) 堀本ゆかり
5. 理学療法の倫理 奥 壽郎,山野 薫
6. 診療報酬制度 千葉哲也
巻末付録
1. 理学療法白書 仙波浩幸
2. 国民の福祉の動向 酒井吉仁
3. 用語一覧-これだけは覚えよう 網本 和
4. 基礎医学英語 50+50選 加藤宗規
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理学療法士を目指す第一歩。理学療法の世界を楽しく,興味をもって学ぼう!
「理学療法学概論」は,理学療法学科に入学したばかりの学生が「理学療法とは何か?」「理学療法の歴史や法制度」など,理学療法の全体像を学ぶ科目である。学生に理学療法の全体像を理解してもらうとともに,興味を抱かせることがこの科目の真の到達目標といえる。
本書は,学生の興味を引くように,写真を豊富に使用しイメージが湧きやすいキャッチーな紙面とし,学生が楽しみながら理学療法の世界を知っていくことができるようになっている。また,「考えてみよう」「やってみよう」「話し合ってみよう」といった囲み記事を設け,教員側から学生に一方的に教えるのではなく,教員と学生の間でコミュニケーションが取れるようになっている。おさえておくべき補足資料なども巻末付録として掲載されている。