コルポ診の臨床ABC

第3版

コルポ診の臨床ABC

■著者 藤井 多久磨

定価 10,450円(税込) (本体9,500円+税)
  • B5変型判  176ページ  オールカラー,イラスト20点,写真400点
  • 2022年3月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-2133-4

コルポスコピーに習熟したいすべての産婦人科医に贈る充実の第3版!

子宮頸癌検診に欠かせない診断法である「コルポスコピー」の決定版書籍がアップデート。
最新のガイドラインに基づく病型分類に合わせて構成を変更し,併せてほぼすべての写真をデジタル画像に更新。約400点にのぼる写真アトラスとともに,機器紹介や手技の解説も全面刷新した充実の第3版!


序文

第3版序

 『コルポ診の臨床ABC』の初版は,慶應義塾大学名誉教授故栗原操寿先生により2004年4月に発刊されたコルポ診の入門書です。その後,2013年4月に慶應義塾大学准教授故塚崎克己先生により改訂第2版が出版されました。
 コルポ診の分類は従来よりThe International Federation of Cervical Pathologyand Colposcopy(IFCPC)により決定されており,最新のものは2011年リオデジャネイロで採択された分類が国際的にも通用しています。この「リオデジャネイロ分類」を基に日本婦人科腫瘍学会では「改訂コルポスコピースタンダードアトラス:日本婦人科腫瘍学会2014」を公表し現在に至っています。
 第2版の出版時には日本の分類は公表されていなかったこともあり,旧分類(日本婦人科腫瘍学会2005)に基づいて執筆されていました。今回,第2版の出版から9年が経過すること,さらには読者の要望があったこともあり,本書を新しい分類に基づいて改訂を行いました。前版で使用された写真についてはかなりの高画質で,そのまま使用することに何の問題もないと思っていますが,その一方で内視鏡カメラの技術発展に伴い,従来見えにくかった画像所見もコンピュータ技術により可視化が可能となったことから,改訂に際してその大部分をリニューアルさせていただきました。第1,2版に掲載された画像は主に検診センターで収集されたものであり,細胞診検査により異常が見つかった患者さんに対しての精密検査としてのコルポ診という立ち位置で集められています。一方,今回の第3版ではそれだけでなく,上皮内腫瘍で経過観察中の変化や診療に際して気を付けること,治療後の変化,さらには妊娠中のコルポ診にも触れており,高次病院特有の症例も併せて提示することができました。第3章では臨床の現場で遭遇する症例を提示して,その取扱いがわかるように工夫しました。近い将来,HPV検査が検診手法に導入されることも考慮に入れて,HPV型についての情報も記載しています。
 思えば,私の本書との出会いは20年前までさかのぼります。2002年1月1日,私は慶應義塾大学名誉教授故野澤志朗教授とともに,東京の某所にある栗原教授のご自宅に新年のご挨拶に伺いました。そこで,この初版の原稿を見せていただき,栗原先生が熱心に野澤先生にこの本の趣旨を説明されていたこと,そして塚崎先生の助けを借りながら執筆をしていることなどを話されていたことが昨日のように思い出されます。塚崎先生は,その御縁もあり第2版の改訂作業を行われました。今回,本書のさらなる改訂版に携わることとなり,私はその運命を感じています。
 コルポ診は婦人科腫瘍独特の検査であり,子宮頸癌検診における精密検査として必須の技術です。今後は人工知能が診断の補助をする可能性はありますが,それまでにはかなりの時間を要すると見込まれます。コルポ診で見える所見は決して静止画像から得られる情報だけではありません。写真撮影者が病変を理解していないと良い画像情報は得られないと思います。栗原先生がコルポスコピー研究会を立ち上げられ,それを源流とした日本婦人科腫瘍学会が現在あります。婦人科腫瘍専門医がこのコルポ診の技術を磨くのはもちろんのこと,本書により,一人でも多くの婦人科医師が興味を持ってくれたらと思い改訂作業を行いました。
 私のコルポ診技術に対し,直接ご指導を賜りました長谷川壽彦先生(元慶應義塾大学講師,元国立栃木病院院長,元東京都予防医学協会検査研究センター長),青木大輔先生(慶應義塾大学教授)には,この場を借りて改めて感謝申し上げたいと思います。また,HPV検査は国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センター第一室長 柊元 巌先生に行っていただきました。ここに改めて感謝申し上げます。最後に,第3版改訂にあたり,メジカルビュー社の大久保彩音様,浅見直博様,そして藤田医科大学研究補助員臼井友美子様,藤田医科大学医学部産婦人科学教室員,同病理診断学講座塚本徹哉教授ほか,スタッフの皆様に感謝申し上げます。

2022年(令和4年)2月1日
藤田医科大学医学部産婦人科学
講座教授 藤井 多久磨
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目次

1 章 総 論
 【1】 コルポ診の目的と適用,その役割
  1 集団検診の細胞診(1次検診)で抽出(ASC-US以上)された症例(異常者)を精検する,
  または細胞診陰性,HPV陽性の症例については,症例を選んで精検する
  2 やらなくてもよい無駄な生検をなくす
  3 蒸散術の場合には蒸散する範囲を決定する
  円錐切除術による子宮温存療法の適用の可否を判定するとともに,切除範囲を決定する
  4 細胞診で異常と判定され,コルポ診で子宮頸腟部および腟に,これに相当する異常がない場合には,
  頸管内に病変が存在しているかもしれない
  5 細胞診の偽陰性(見逃し)を補正する(あるいは正す)
  6 禁忌
 【2】 HPV感染に配慮したコルポスコープ検査
 【3】 子宮頸腟部の臨床病理とコルポ診のポイント
  1 移行帯T(transformation)の組織変換
  2 子宮頸腟部の生理的変化と子宮頸癌発生との関連
  3 異形成および上皮内癌の組織学的基準
 【4】 コルポスコープに必要な機器・道具
  1 コルポスコープ
  2 腟鏡
  3 子宮ゾンデ,マルチン鉗子,長鑷子,頸管開口用鑷子
  4 キュレットと生検鉗子
  5 希釈酢酸溶液
  6 緑色フィルター,NBIシステム
  7 ルゴール液
 【5】 コルポスコピー所見分類:日本婦人科腫瘍学会2014
  1 A)総合評価 General assessment GA
  2 B )正常所見 Normal colposcopic findings NCF
  3 C)異常所見 Abnormal colposcopic findings ACF
  4 D) 浸潤癌所見 Suspicious for invasion IC
  5 E ) その他の非癌所見 Miscellaneous findings MF
 【6】 コルポ診の手順
  1 問診・コルポ検査の説明および同意取得
  2 腟鏡の固定
  3 肉眼診
  4 コルポ診
  5 組織診
  6 組織診の番号
  7 組織診後の止血
  8 萎縮性腟炎の対応
 【7】 コルポ診の所見の記載・図示と記号
 【8】 コルポ診のさまざまなテクニック
  1 全周囲観察できないときはどうするのか
  2 生検の工夫
2 章 コルポスコピー所見と組織診・細胞診所見との相関
 【正常所見】
   扁平上皮(S)と円柱上皮(C)
   移行帯(T) 症例1 / 症例2
   円錐切除術後
   血管所見
   頸管ポリープ
   妊娠中の頸管ポリープPo 症例1
   妊娠中の頸管ポリープ(脱落膜ポリープ) 症例2
 【異常所見:軽度所見】
   白色上皮 W1 症例1 / 症例2 / 症例3
   白色上皮 地図状辺縁 B1 症例1 / 症例2
   モザイク M1
   赤色斑 P1 症例1 / 症例2
 【異常所見:高度所見】
   白色上皮 W2 症例1 / 症例2
   白色上皮 内部境界 B2 症例1/ 症例2/ 症例3
   白色上皮 鋭角辺縁 B2 症例1 / 症例2
   白色上皮 尾根状隆起 B2 症例1 / 症例2 / 症例3 / 症例4
   白色上皮 異常腺開口 aGo 症例1 / 症例2
   モザイク M2 症例1 / 症例2 / 症例3 / 症例4
   赤色斑 P2 症例1 / 症例2 / 症例3
 【非特異的所見】
   白斑(角化,過角化) L 症例1 / 症例2
   びらん Er 症例1 / 症例2
 【浸潤癌所見】
   異型血管 症例1 / 症例2/ 症例3/ 症例4
   付随所見 症例1 / 症例2/ 症例3/ 症例4 / 症例5/ 症例6
 【その他の非癌所見】
   コンジローマ 症例1 / 症例2 / 症例3
   炎症 症例1 / 症例2/ 症例3/ 症例4 / 症例5/
   萎縮 症例1 / 症例2
   ポリープ
   潰瘍
 【コルポ不適正】
   異常所見を随伴しない不適例 V3
3 章 症例提示
 【腟病変観察の意義
 【腟病変】
   軽度の異常症例1 / 症例2 / 症例3
   高度の異常・癌の疑い症例1〜7
   再発癌 症例1 / 症例2/ 症例3/ 症例4
 【頸管内病変】
   頸管内病変 症例1 / 症例2 / 症例3 / 症例4
 【閉経後の病変】
   閉経後の病変 症例1 / 症例2 / 症例3
 【フィルターが有効な症例】
   フィルターが有効な症例1 / 症例2
 【浸潤腺癌】
 【上皮内腺癌】
 【子宮体癌】
 【悪性黒色腫】
 【血管腫】 
 【妊娠症例】
   軽度の異常 症例1 / 症例2 / 症例3 / 症例4
   高度の異常 症例1 / 症例2 / 症例3 / 症例4
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