意外と知らない!? くすりのTips

意外と知らない!? くすりのTips

■監修 稲森 正彦
飯田 洋

■編集 井上 祥
田部井 正

定価 4,180円(税込) (本体3,800円+税)
  • A5判  316ページ  2色
  • 2015年3月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-0049-0

くすりにまつわる「意外と知らない」処方のポイントを簡潔・丁寧に解説!

次々と発売される薬剤により,投薬治療の環境はより複雑になってきている。薬物有害反応の誘因の1つである相互作用や,基礎疾患(緑内障や前立腺肥大症など)がある患者さんが他科を訪れた場合など,若手医師が「意外と知らない」くすりのノウハウは多岐にわたる。
本書は,くすりに関する具体的なトラブル・疑問を集めたうえで,どのように対処するべきかを実践的に解説。トラブル・疑問への対処法のポイントを明確にすることで,ほとんどの解説を2頁に収めているので,多忙な若手医師でも業務の合間に読みやすい構成となっている。
医師は専門性が高いため,自分の専門科以外の薬剤事情にはどうしても疎くなってしまう。しかし,プライマリの現場では専門以外の患者さんを診る機会は決して少なくない。本書は,くすりで悩んだことがあるすべての若手医師にとって必携の1冊である。


序文

監修の言葉

 2013年に発売された前作,本書の姉妹本でもある「病棟の困ったを解決!マイナートラブル対処法」はおかげさまで研修医をはじめ,後期研修医やプライマリケアの先生方に大変な好評を博しました。「誰にも聞けなかったことが書いてある」「ちょっとした工夫が臨床現場で役に立っている」「どのページからも読めるのがよい」など,さまざまなコメントをいただきました。その中で「薬についても,同様な本があったらいいのに」と多くのご要望を頂戴いたしました。今回,「ついつい見落としがちであるけれども大切なこと」という前作のコンセプトを受け継ぎながら,実地臨床で役立つ情報を多く盛り込んだ薬の本を作成するという目標の基,本書の出版に至りました。
 本書は前作のメンバーが多く参加してくださっています。前作の際には初期研修医が終わって数年の,比較的若い世代だった先生方が経験を重ね,多くが専門医を取得するなどキャリアアップを果たしています。また,今回は多くの新しい先生方にもご協力いただきました。横浜市立大学の関連施設の先生方が中心となっていた前作とは異なり,本書は東京大学の関連施設の先生,国立成育医療研究センターの先生など,日本を代表する医療機関の先生方にもご協力いただきました。多施設の先生方にご協力いただいたことで,本書の幅が大いに広がったように感じております。
 本書で得られた知識を日常診療に活かすのみならず,さらに発展させ,日本を支える医療者としての素養としていただければ幸いに存じます。また,日々新しい薬が開発・販売されています。それに合わせ,皆様のフィードバックをいただきながら本書も改訂を重ねていければ監修者としてはこの上ない喜びです。
 最後に,お世話になったメジカルビュー社の石田奈緒美氏と高橋 学氏に,心から感謝申し上げます。

平成27年1月

監修者を代表して
横浜市立大学医学教育学/肝胆膵消化器病学
飯田 洋
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目次

1章 循環器・高血圧
 1 Ca拮抗薬は多くの科で重宝されている!
  column ニカルジピンと脳出血
 2 ACE阻害薬は循環器科で愛されている!
 3 ARBは腎臓内科のパートナーである!
 4 β遮断薬は降圧薬の第一選択薬ではない!?
 5 サイアザイド系利尿薬の才能を発揮する法
 6 ループ利尿薬の特徴を知ろう!
 7 新しい抗アルドステロン系利尿薬の登場
 8 バソプレシン受容体拮抗薬─新しいタイプの利尿薬
  column 利尿薬のまとめ
 9 プライマリケアでも知るべき3つの不整脈
 10 意外に知らない 頻脈,徐脈をきたす薬
 11 抗不整脈薬の催不整脈作用!
 12 基準値内でも要注意! ジギタリス
 
2章 呼吸器
 13 うがいをしよう! 吸入ステロイド薬
 14 β2刺激薬は吸入ステロイドと一緒に!
 15 抗コリン薬は吸入でも副作用がある!?
  column 吸入薬一覧
 16 吸入法の違いを知ろう
 17 テオフィリンの血中濃度を測ろう!
 18 意外と多い! アスピリン喘息
 19 COPDの患者さんにβ遮断薬は使ってよい?
 20 サプリでも間質性肺炎になる!
 21 中枢性鎮咳薬のエビデンス…?
  column 咳・嚥下反射を促す薬剤 ─誤嚥性肺炎の予防
  column 生物学的製剤と感染症
 
3章 糖尿病
 巻頭 熊本宣言2013─糖尿病治療のパラダイムシフト
 22 低血糖回避にインスリン!?
 23 飲酒はメトホルミンの敵!?
 24 スルホニル尿素(SU)薬の三戒
 25 DPP-4阻害薬は低血糖のリスクが低いけれど…
  column SGLT2阻害薬
 26 GLP-1受容体作動薬はインスリンの代用にはならない!
 27 グリニド薬は「いただきます」の前に!
 28 α-GI 薬はおならに注意!
 29 体重増加に要注意! チアゾリジン誘導体
 
4章 内分泌代謝
 30 アロプリノールとフェブキソスタット
  column 甲状腺疾患の注意点
 31 心血管イベント抑制とスタチン
  column 魚の不飽和脂肪酸─EPA
  column PTH製剤の注意点
 32 口腔をチェック! ビスホスホネート製剤
 33 高齢者と活性型ビタミンD3製剤
 34 えっ? SERMって休薬必要なの!?
 35 どうやって説明すればいいの? 低用量ピルと血栓症
 
5章 消化器
 36 耐性に注意! H2受容体拮抗薬
 37 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の特徴
 38 下痢に注意! プロトンポンプ阻害薬(PPI)
 39 NSAIDs潰瘍を防げ!
 40 再注目!? ミソプロストール
 41 アルミニウム製剤を振り返る
 42 メトクロプラミドと錐体外路症状
 43 その吐き気,イレウスからでは?
 44 刺激性下剤で悪化する便秘!?
 45 アコチアミド─機能性ディスペプシアのはじめての薬
 46 過敏性腸症候群の治療薬
  column 肝胆道閉鎖とウルソ®
 47 それってホントに薬剤性肝障害?
 48 副作用を説明! インターフェロン
 49 グリチルリチンでむくんだら…
 50 薬が原因で膵炎に?!
 
6章 精神・神経
 51 高齢者の睡眠薬は少量から!
  column 新しい機序の睡眠薬 ─メラトニン受容体作動薬
  column レストレスレッグス症候群
 52 副作用の説明が必須! 抗うつ薬
  column 新しい抗うつ薬 ─NaSSA
 53 高齢者と抗精神病薬
  column オランザピンの意外な効果─制吐・食欲増進効果
 54 介護状況に合わせて! 抗認知症薬
  column Lewy(レビー)小体型認知症と抗精神病薬
 55 なんでもバルプロ酸でOK?
 56 一番大切だけど,一番難しい抗てんかん薬?!
 57 ホスフェニトインはフェニトインより安全?
 58 続けよう! 抗パーキンソン病薬
 59 パーキンソニズムと薬
 60 神経筋疾患のキホン
 
7章 泌尿器
 61 α1遮断薬でQOLを損なわない!
  column 前立腺がんと健康食品
 62「風邪薬ください」に潜むワナ!?
 63 あっちをたてればこっちがたたない?─前立腺肥大症の治療薬
 64 過活動膀胱(OAB)の第一手
  column 尿管結石とα1遮断薬
 
8章 皮膚科・眼科・耳鼻科
 65 保湿剤の使い分け
 66 ステロイド外用薬の使い分け
 67 白癬,カンジダ症への抗真菌薬
 68 この湿疹,薬のせい?
 69 緑内障,その薬,大丈夫?!
 70 白内障手術を控えている人には…
 71 点鼻薬の使い分け
 
9章 小児科
 72 こどもが薬を飲みたがりません!
 73 準備が命! 鎮静薬は命取り!?
 74 小児の維持輸液に何を使おう?
 75 気管支喘息発作とクループ ステロイドの使い方は?
 76 漸減? 中止? 小児喘息の急性発作ステロイド
 77 乳児湿疹に薬は必要!?
 78 ステロイドの外用薬はおとなと同じでいいの?
 79 熱性痙攣を取り巻くお薬事情
 80 こどものインフルエンザ治療はどうするの?
 81 マクロライド耐性マイコプラズマ,抗菌薬はどうするの?
 82 肺炎いつまで治療するの?
  column 小児肺炎の鑑別への手がかり
  column ワクチンで防げる病気─肺炎球菌とインフルエンザ菌
 
10章 よく使う薬
 鎮痛薬
 83 誤解されがち? WHOの除痛ラダー
 84 十分使おう! アセトアミノフェン
 85 慣れてても油断禁物! NSAIDs 副作用・相互作用を中心に
 86 COX2阻害薬は胃にやさしい!?
 87「弱」オピオイドのトラマドール
 88 コデインリン酸塩の使用の勧め
 89 副作用対策がカギ! 強オピオイド
 90 少量から始めよう! プレガバリン
 漢方薬
 91 漢方薬でも副作用に要注意!
 92 漢方薬の7割に甘草!?
 93 DO処方に気をつけ麻黄!
 94 大黄は下痢・腹痛に注意!
 抗凝固薬
 95 リバースの方法を知ろう! ワルファリン
 96 ヘパリンで知っておいてほしいこと
 97 NOAC(新規経口抗凝固薬)はいいことだらけ!?
 感染症
 98 インフルエンザにオセルタミビル? 麻黄湯?
 99 季節性インフルエンザ 曝露後予防投与は必要?
 column 経口第3世代セフェム系薬を安易に使用しない
 輸液
 100 末梢静脈栄養(PPN)用アミノ酸輸液製剤を再確認しよう
 101 意外と知らない中心静脈栄養のこと
 その他
 102 その抗ヒスタミン薬,運転できる!?
 103 めまい薬の使い分け
 104 1カ月に1回のエリスロポエチン
 105 知ってるようで知らない鉄剤のこと
  column チャンピックス®の注意点
 106 意外に多い!? 薬剤性高プロラクチン血症
 107 造影剤 ─ 内服薬と既往の確認を!
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