PT・OTのための治療薬ガイドブック

リハビリテーション実施時の注意点

PT・OTのための治療薬ガイドブック

■監修 本間 光信

■編集 高橋 仁美

定価 4,950円(税込) (本体4,500円+税)
  • B6判  424ページ  2色(一部カラー),イラスト46点
  • 2017年9月4日刊行
  • ISBN978-4-7583-1903-4

リハの現場で役立つ薬の知識について解説! プログラム実践とリスク管理に必携の1冊

リハビリテーション(以下,リハ)の対象となる患者のほとんどが,なんらかの薬を服用していると言っても過言ではない。薬の作用はリハに大きな影響を及ぼすため,リスク管理の点や効果的なプログラム実践のためにも,セラピストにとって薬の知識は非常に大切である。
本書は臨床勤務のセラピストを対象に,リハの現場で役立つ薬の知識について解説した書籍である。疾患の治療の流れのなかで,各時期にどのような薬を用いているか,その薬にはどういった効果・副作用があるかを解説し,リハを行う際の注意点を紹介している。
訪問リハなどでも携帯しやすいB6変形判(新書判)で,現場で働くセラピスト必携の1冊である。


序文

 わが国では今日,人口の高齢化により,急性期から訪問までのリハビリテーション(以下,リハ)の対象者は,その対象となる疾患のほか,合併症や既往症も有していることがほとんどです。したがって,リハを行うケースに対しては一般的に複数の薬剤が投与されており,薬物療法の役割は非常に重要となるため,「リハは基本的に薬物療法下の患者に対して実施される」というとらえ方が必要になると考えます。リハスタッフは,薬物とリハはそれぞれ独立して作用するのではく,両者は互いに影響し合うということを知っておかなければなりません。薬とリハは協力的に働くだけではなく,時には有害的に作用します。そのため,効果的なリハプログラムを実践するには,薬の知識が非常に大切となります。もちろん包括的リハの構成要素としても薬物療法は重要な位置づけにあるので,チーム医療の実践においても薬物療法の影響を共有することは,より質の高いリハを提供するうえでも重要であることは言うまでもありません。
 本書では,リハの対象となる患者に使用される薬剤の特徴や効果などを,リハスタッフ向けにわかりやすくまとめています。Ⅰ章では薬理作用などの薬の基礎知識について,Ⅱ章では診療科別に各疾患の治療で使用する薬剤とリハビリテーションについて,Ⅲ章では薬剤と転倒の危険性など,その他の薬の知識について,それぞれ解説しています。特徴は,まず各疾患の治療の流れを説明し,次に急性期・回復期・維持期などの各期で用いる薬剤を解説してから,「リハビリテーション上の注意点」で,禁忌やリスク管理などを強調した点にあります。また,判型をB6変形(新書判)として携帯しやすいようにしました。ぜひ,訪問リハなど日々の臨床の現場で活用していただければと思います。
 最後に,毎日の診療・研究・教育で大変ご多忙ななか,非常に難しいテーマに対して快くご執筆くださいました各専門分野の先生方に,心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。また,メジカルビュー社の阿部篤仁氏には編集にご尽力いただきましたことに御礼申し上げます。本書が,リハの臨床現場で日々奮闘している理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にとっての薬物療法のテキストとなり,さらに質の高いチーム医療の実施に貢献できるのであれば,われわれにとって望外の幸せであります。

2017年8月
本間光信
高橋仁美
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目次

■Ⅰ 薬の基礎知識
1 薬理作用:総論  松田泰行
 薬理学の概念
 薬(医薬品)と薬物
 薬理作用:基本事項
2 薬物の生体内動態  松田泰行
 はじめに
 吸収
 分布
 代謝
 排泄
3 剤形  松田泰行
 薬物の投与方法:剤形と投与経路
4 薬物投与量  松田泰行
 薬理作用(薬効)に影響を及ぼす要因
5 薬物の副作用  松田泰行
 はじめに:副作用と有害反応
 薬物の有害事象
6 薬の種類と具体的な作用,そのメカニズム  松田泰行
 循環器系に作用する薬物
 呼吸器系に作用する薬物
 消化器に作用する薬物
 腸に作用する薬
 腎臓に作用する薬物
 血液に作用する薬物
 抗悪性腫瘍薬
 抗炎症薬
 代謝系に作用する薬物
 骨格筋弛緩薬
 中枢神経系に作用する薬物
 抗感染症薬
7 薬剤の影響を受ける臨床検査値  高橋 寛
 細胞成分
 血漿成分と血清成分
 
■Ⅱ 疾患の治療で使用する薬剤とリハビリテーション
A 神経内科・脳神経外科
1 脳梗塞  中瀬泰然
 脳梗塞の治療の流れ
 超急性期治療
 急性期治療
 亜急性期から慢性期治療
2 脳出血  古谷伸春,師井淳太
 脳出血の治療の流れ
 急性期治療
 慢性期治療
3 くも膜下出血  古谷伸春,師井淳太
 くも膜下出血の治療の流れ
 急性期治療
 慢性期治療
4 多発性神経炎  大川 聡
 多発性神経炎の治療の流れ
 自己免疫性ニューロパチーの根本治療
 症状を緩和するための疼痛緩和薬
5 パーキンソン病  大川 聡
 パーキンソン病とは
 パーキンソン病の治療
6 筋萎縮性側索硬化症  大川 聡
 運動ニューロン病とは
 筋萎縮性側索硬化症とは
 治療の一般方針
7 脊髄小脳変性症  大川 聡
 脊髄小脳変性症とは
 多系統萎縮症とは
 治療
8 重症筋無力症  大川 聡
 重症筋無力症とは
 治療

B 循環器内科・心臓血管外科
1 心筋梗塞  新保麻衣,渡邊博之
 治療の流れ
 発症急性期に使用される薬物
2 狭心症  新保麻衣,渡邊博之
 治療の流れ
 狭心症で使用する薬剤
3 開心術後  星野良平
 開心術後の離床
 主に術後急性期,集中治療室で使用する薬剤
 主に集中治療室退室後に使用する薬剤
4 心不全  阿部起実,新保麻衣,渡邊博之
 治療の流れ
 急性期
 慢性期
5 閉塞性動脈硬化症  加藤 宗,新保麻衣,渡邊博之
 治療の流れ
 閉塞性動脈硬化症患者に使用される内服薬
6 大動脈瘤・大動脈解離  山中卓之,新保麻衣,渡邊博之
 治療の流れ
 主に使用される鎮痛薬とその特徴
 主に使用される鎮静薬とその特徴
 主に使用される降圧薬とその特徴

C 呼吸器内科・呼吸器外科
1 肺炎  本間光信
 肺炎の臨床
 肺炎の疫学
 肺炎の分類
 肺炎のエンピリック治療における抗菌薬の選択
 抗菌薬の副作用
 セラピストが注意すべき抗菌薬の副作用
2 肺癌の手術後  齊藤 元
 治療の流れ
 急性期で使用される薬
 回復期で使用される薬
3 COPD  佐野正明
 治療の流れ
 安定期に使用される薬
 増悪期の治療
4 気管支喘息  佐野正明
 治療の流れ
 安定期の治療
 発作時の治療薬
5 気管支拡張症  竹田正秀
 はじめに
 気管支拡張症に対するマクロライド系抗菌薬長期療法
 マクロライド系抗菌薬の特徴
 気管支拡張症に対するその他の治療法
 気管支拡張症の予後
 おわりに
6 間質性肺炎  佐藤一洋
 治療の流れ
 慢性期に使用される薬
 急性増悪期に使用される薬
7 人工呼吸管理下の患者  重臣宗伯
   人工呼吸の目的・対象・リスク
 人工呼吸管理開始からリハビリテーション開始までの流れ
 人工呼吸管理中に使用される薬

D 整形外科
1 外傷・骨折  成田裕一郎
 はじめに
 薬物治療の流れ
2 手術後  成田裕一郎
 はじめに
 薬物治療の流れ
3 関節の変性疾患  佐々木 研
 治療の流れ
 急性期に使用される薬剤
 慢性期に使用される薬
4 関節の炎症性疾患  佐々木 研
 関節炎をきたす疾患
5 骨粗鬆症  杉村祐介
 治療の流れ
 主に使用される薬剤とその特徴
6 関節リウマチ  杉村祐介
 治療の流れ
 主に使用される薬剤とその特徴

E 代謝内科
1 糖尿病  細葉美穂子
 治療の流れ
 主に使用される薬剤とその特徴
 糖尿病患者におけるリハビリテーションの適応と禁忌
2 慢性腎臓病  宮形 滋
 慢性腎臓病の治療の流れ
 保存期
 透析期
3 脂質異常症  細葉美穂子
 治療の流れ
 主に使用される薬剤とその特徴

F 腫瘍内科
1 消化器癌:食道癌,胃癌,大腸癌,肝臓癌,膵癌,胆道癌  太田 栄
 はじめに
 食道癌の治療
 胃癌の治療
 大腸癌の治療
 肝細胞癌の治療
 膵癌の治療
 胆道癌の治療
 消化器癌の周術期に使用する薬剤
2 乳癌  片寄喜久
 はじめに
 乳癌治療の流れ
 リハビリテーションと薬剤,注意点
 乳癌再発後の治療とリハビリテーション
 まとめ
3 血液がん  市川喜一
 治療の流れ
 化学療法期に使用される薬剤
 骨髄抑制期に使用される薬

G 精神科
1 うつ病および双極性障害  内藤信吾
 はじめに
 うつ病の治療の流れ
 双極性障害の治療の流れ
2 統合失調症  内藤信吾
 はじめに
 治療の流れ
3 認知症  内藤信吾
 はじめに
 アルツハイマー型認知症
 レビー小体型認知症
 前頭側頭型認知症
4 その他の精神疾患  内藤信吾
 せん妄
 アルコール依存症
 
■Ⅲ その他の薬の知識
1 降圧薬,パーキンソン病治療薬,糖尿病薬  高橋 寛
 はじめに
 降圧薬
 血液製剤,血液に作用する薬
 パーキンソン病治療薬
 糖尿病薬
2 体温調節に影響を及ぼす薬剤  高橋 寛
 発汗抑制作用がある薬剤
 脱水症状を起こしやすい薬剤
 体温調節に影響を及ぼす薬剤への対応
3 抗ヒスタミン薬と尿失禁  高橋 寛
 抗ヒスタミン薬
 抗ヒスタミン薬の副作用
 尿失禁を起こす薬剤
4 薬剤と転倒の危険性  高橋 寛
 はじめに
 薬剤により転倒の危険性が高まる原因
 転倒防止のための睡眠薬の調整
 不眠と転倒リスク
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