EBMを活かす呼吸器診療

EBMを活かす呼吸器診療

■編集 高橋 和久
児玉 裕三

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)
  • B5判  592ページ  2色(一部カラー)
  • 2015年3月31日刊行
  • ISBN978-4-7583-0379-8

電子版


根拠ある治療を求められる時代の新スタンダード

肺がん患者の増加,高齢化に伴う肺機能の低下など,呼吸器科医に求められるニーズはますます高まってきている。本書では,呼吸器科領域の疾患についてEBMを明示しながら,根拠ある診療を解説。専門医を目指す若手医師にはベーシックな知識を,経験豊富なベテランドクターには最新の知見を,日本呼吸器学会研修カリキュラムに沿って掲載。診断における画像写真の特徴,具体的な処方例まで,知識のみならず実地診療でも即役立つ呼吸器内科医必携の一冊。付録として『代表的な疾患の画像』『呼吸器科でよくみる症候の鑑別診断』を掲載。


序文

巻頭言

 わが国では人口の高齢化が加速し,高齢者に多い呼吸器疾患が増えることは想像に難くありません。一方,呼吸器疾患を専門とする呼吸器内科医の数は,消化器,循環器を専門とする医師と比べ充分とはいえません。実際,専門医の数も消化器内科の3分の1,循環器内科の半分であり,呼吸器専門医の養成は急務です。
 呼吸器疾患は多彩であり,感染症,腫瘍性疾患,閉塞性肺疾患,びまん性肺疾患,免疫学肺疾患,循環障害などを含むため幅広くかつ深い知識と経験が求められます。また,咳,痰,息切れ,胸痛など呼吸器疾患で多くみられる主訴は多数あり,これら呼吸器症候から診断に至るアルゴリズムを理解することも大切です。呼吸器疾患の診断,治療は日進月歩であり新しいエビデンスが構築されています。実際,肺癌に関するガイドラインは日々エビデンスが蓄積され,ガイドラインも毎年更新されWebで公開されています。
 目まぐるしく進歩する呼吸疾患の診断と治療を行う研修医,若手医師,そして実地医家の先生方にとって,ベッドサイド,あるいは外来で必要なときにいつでも最新エビデンスを知ることができる『EBMを活かす呼吸器診療』は呼吸器診療を行ううえでバイブルとなることでしょう。このたび発刊を迎えました本書は,長年に渡り順天堂大学呼吸器内科で行われてきた呼吸器診療を,エビデンスをもとにわかりやすくまとめた我々の血と汗と涙の結晶です。また,日本を代表する他施設の呼吸器内科専門医の先生方にも執筆いただき本書の質がさらに向上いたしました。心から感謝申し上げます。
 巻頭に代表的呼吸器疾患の画像と病理像を提示し,症候,検査などの総論と代表的呼吸器疾患の各論と続きます。各種疾患の診断,治療については可能な限りガイドラインを引用しました。また,各領域のトピックス,一部の稀少疾患に関しては随所に散りばめ,一目で理解できるように配慮しました。多彩な呼吸器疾患のほぼすべての領域を含んでおり,これ一冊で実地医家にとって充分なものになっています。内容もあまり専門的にならず研修医,一般医家の方にも理解しやすくなっています。
 本書が呼吸器内科を目指す若者,実地診療の現場で多くの呼吸器疾患を診ている先生方の日々の診療にお役に立つことを祈っています。

 最後に編集業務にあたっていただいた児玉裕三准教授,守尾嘉晃准教授,関谷充晃准教授およびメジカルビュー社の石田奈緒美様に感謝申し上げます。難治性疾患を多く含む呼吸器疾患を専門とする仲間が増え,呼吸器疾患で苦しむ患者さんが減少することを夢見て。

春の訪れが感じられる御茶ノ水の地で
2015年3月
順天堂大学大学院医学研究科呼吸器内科
教授 高橋和久
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目次

 前付録1  代表的な疾患の画像   
  肺炎 鈴木一廣
  抗酸菌感染症 鈴木一廣,植草利公
  肺癌 鈴木一廣,植草利公
  間質性肺炎 鈴木一廣,植草利公
  嚢胞性肺疾患 瀬山邦明
 前付録2  呼吸器科でよくみる症候の鑑別診断   
  咳嗽 桂 蓉子
  血痰・喀血 村木慶子
  呼吸困難 伊藤 潤

総 論   
 Ⅰ. 呼吸器に特異的な検査
 感染症の診断法
  喀痰検査,ウイルス検査,血液検査,迅速抗原検査による診断法 南條友央太
  遺伝子診断法 吉岡泰子
 呼吸機能検査
  換気機能およびガス交換機能の評価 瀬山邦明
  動脈血液ガス分析 田村尚亮
  運動負荷試験 市川昌子
  広域周波オシレーション法による呼吸抵抗測定 熱田 了
 画像検査 
  胸部X線検査 鈴木一廣
  CT 飛野和則
 胸部超音波検査 関谷充晃
 心エコー検査 栗山祥子
 呼吸器核医学検査 富永 滋
 呼気一酸化窒素濃度 熱田 了
 終夜ポリソムノグラフィ 塩田智美
 呼吸器内視鏡検査(気管支鏡,局所麻酔下胸腔鏡) 長岡鉄太郎

 Ⅱ. 呼吸器に特異的な治療
 薬物療法
  吸入ステロイド薬 熱田 了
  抗菌薬化学療法 堀  賢
  免疫抑制薬 加藤元康,高橋史行
  漢方薬 佐藤弘一
  抗癌剤 沖本民生,宿谷威仁,高橋和久
 酸素療法 植木 純
 人工呼吸,レスピレータ 塩田智美
 NPPV 稲垣 藍
 胸腔ドレナージ 高持一矢
 内視鏡的治療 前原幸夫,池田徳彦
 放射線治療 石倉 聡
 気管支動脈塞栓術 白石昭彦,桑鶴良平
 呼吸リハビリテーション 吉見 格
 体位ドレナージ 髙木 陽
 在宅呼吸療法
  在宅酸素療法 鈴木 勉
  在宅人工呼吸 鈴木 勉
 緩和ケア 菅野康二,奥山 徹
 内科医に必要な外科知識 鈴木健司

 各 論
 Ⅰ. 気道・肺疾患
 感染症および炎症性疾患
  市中肺炎 細菌性肺炎 佐々木信一
  市中肺炎 非定型肺炎 中川直子
  院内肺炎 大河内康実,徳田 均
  NHCAP(医療・介護関連肺炎) 岩瀬彰彦
  誤嚥性肺炎 吉田和史,寺本信嗣
  肺化膿症(肺膿瘍) 堀  賢
  ウイルス性肺炎 平間未知大
  真菌症 藤本雄一
  抗酸菌感染症 肺結核症 森野英里子,放生雅章
  抗酸菌感染症 非結核性抗酸菌症 南宮 湖,長谷川直樹
  放線菌症・ノカルジア症 山本章人
  肺寄生虫症 美田敏宏
 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 児玉裕三
 気管支・細気管支の疾患
  気管支拡張症 佐藤 匡
  閉塞性細気管支炎 橋本直純,長谷川好規
  びまん性汎細気管支炎 檀原 高,鈴木 勉,杉原栄一郎,饗庭三代治
 アレルギー性疾患
  気管支喘息 原田紀宏
  急性および慢性好酸球性肺炎 石森絢子
  アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 松野 圭
  過敏性肺炎 宮崎泰成
 特発性間質性肺炎
  特発性肺線維症 杉野圭史,本間 栄
  その他の特発性間質性肺疾患 守尾嘉晃
 急性呼吸窮迫症候群(ARDS) 小林 功
 薬剤,化学物質,放射線による肺障害
  薬剤性肺障害 加藤元康
  化学薬品,農薬などによる肺障害 長島 修
  パラコート中毒 津田泰成
  放射線肺炎 木戸健治
 全身性疾患に伴う肺病変
  膠原病および類縁疾患に伴う肺病変 桑名正隆
  サルコイドーシス 三浦佳代
  ANCA関連血管炎症候群(Wegener 肉芽腫症,Churg-Strauss 症候群,顕微鏡的多発血管炎) 田島 学
  抗糸球体基底膜抗体病(Goodpasture症候群) 十合晋作
  Langerhans細胞組織球症 高橋史行,江花弘基
  アミロイドーシス 小池建吾
  白血病とリンパ腫 柳下薫寛
 じん肺症
  珪肺症 土屋公威,稲瀬直彦
  石綿肺 中野孝司
  その他のじん肺 城戸貴志,迎 寛
  肺循環障害
  肺動脈性肺高血圧症 守尾嘉晃
  その他の肺高血圧症 堤 建男
  急性・慢性肺血栓塞栓症 長岡鉄太郎
  肺動静脈瘻(肺動静脈奇形) 金丸良太
  肺分画症 岩神直子,岩神真一郎
 呼吸器新生物
  腺癌 宿谷威仁
  扁平上皮癌 小山 良
  小細胞癌 高  遼
  大細胞癌 本間裕一郎
  カルチノイド 王 志明
  良性腫瘍 嶋田奈緒子
  腫瘍随伴症候群 柴山里奈
 呼吸調節障害
  閉塞型睡眠時無呼吸症候群 塩田智美
  中枢型睡眠時無呼吸症候群 竹川英徳
  (肥満)肺胞低換気 濃沼淑芳
 その他(比較的まれな肺疾患)
  リンパ脈管筋腫症(LAM) 安藤克利,瀬山邦明
  Birt-Hogg-Dube症候群 江花弘基
  肺胞蛋白症 糸魚川幸成
  肺腫瘍塞栓性微小血管症 鳥羽慶栄
  肺胞微石症 栗山祥子
  特発性肺ヘモジデローシス 井原宏彰
  線毛機能不全症 熱田 了

 Ⅱ.呼吸不全
  急性呼吸不全 海老原明典,桑平一郎
  慢性呼吸不全 家永浩樹

 Ⅲ.胸膜疾患
  気胸 佐藤輝彦
  胸膜炎・膿胸 門屋講太郎
  乳び胸 星加義人
  胸膜肥厚斑 中野孝司
  悪性胸膜中皮腫 中野孝司
  その他の胸膜腫瘍 柴山里奈

 Ⅳ.縦隔疾患
 縦隔気腫(皮下気腫も含む) 竹川英徳
 縦隔腫瘍
  胸腺腫(胸腺癌も含む) 石渡俊次
  胚細胞性腫瘍 原 宗央
  神経性腫瘍 推名健太郎
  嚢胞性病変 朝尾哲彦
 縦隔炎 鈴木洋平,江花弘基
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