Dr.押味の

あなたの医学英語 なんとかします!

「論文読解」「プレゼンテーション」「病歴聴取」「身体診察」「症例報告」まで、医師に必須の英語スキルの奥義を伝授!

あなたの医学英語 なんとかします!

■著者 押味 貴之

定価 3,300円(税込) (本体3,000円+税)
  • A5判  232ページ  2色
  • 2017年2月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-0960-8

医学英語習得の近道である「基本ステップ」と「基本表現」を身につけよう!

医師や医学生が医学英語を学ぼうとする際, 多くの人が医学用語を暗記しようとする。しかし医師や医学生にとって本当に必要なのは「論文を読めるようになる」「国際学会で質疑応答ができるようになる」「外国人患者さんが満足できる医療面接ができるようになる」「海外の医師にもわかってもらえる症例報告ができる」という医学コミュニケーションができるようになることである。本書では医学英語教育分野の第一人者である押味貴之医師が, 医師にとって必要最低限の医学英語スキルである「論文読解」「プレゼンテーション」「医療面接」「症例報告」という4つのスキルに関する奥義を余すことなく伝授する。
英語を母国語としない日本人医師や医学生がこれらのスキルを身につけるためには, それぞれのコミュニケーションの「基本ステップ」を理解し, それぞれのコミュニケーションにおいて英語圏で本当に使われている「基本表現」を身につけることが習得への圧倒的な近道である。
「医学英語をなんとかしたいけど, どこから手をつけたらいいのかわからない」というあなたにこそ, ぜひ手に取ってほしい1冊である。


序文

医学英語の世界へようこそ!

 はじめまして。押味貴之と申します。私は医師でありながら臨床ではなく,医学英語教育と医療通訳教育に従事している「変わり者」の大学教員です。専門が医学英語教育と医療通訳教育ですから,患者さんを診察するのではなく,毎日ひたすら医学英語と医療通訳のことばかりを考えている,とても風変わりな医師なのです。
 さて現在,医学の世界では英語が国際共通言語となっています。もはや日本人医師にとって英語は「使えるのが望ましい」というものではなく,「必要不可欠な」スキルとなってしまいました。英語ができないと最新の医学情報を取得することができませんし,増加する外国人患者の診療をすることもできません。また日本語の医学論文でさえもタイトルと抄録は英語で書かなければなりませんし,国際学会の質疑応答では英語で意見交換をする必要があります。英語は英語圏での海外留学を希望する医師だけに必要な特別なものではなく,世界中の医師にとって必要不可欠なスキルとなっているのです。この状況に対応すべく,日本の多くの医学部も「医学英語」という科目を設置して,その教育を充実させようと努力してきました。
 しかし多くの医学部にとって,この「医学英語」という科目はとても厄介な科目です。というのも従来の日本の医学部での英語教育は,あくまでも一般教養の科目として「読む」「書く」「聴く」「話す」という4つの英語スキルの向上を目的としていたのです。また英語科目を担当する教員の多くは英語教育が専門で,医学の背景がない方がほとんどですし,そもそも医学英語としてどんなスキルを教えるべきか,そしてどのようにカリキュラムを組めばいいのか,誰もよくわかっていなかったのです。
 私はオーストラリアの大学院で医療通訳の研究をしていた2007年に,当時「日本の医学英語教育の父」といわれていた J. P. Barron先生(元東京医科大学教授)に勧められて,日本大学医学部で医学英語教育に従事することになりました。当時日本大学医学部で医学英語を担当していた R. Gerling先生とともに医学英語の授業を担当した後,2009年からは,当時ではかなり先駆的な取り組みとなる「6年一貫の医学英語教育」の開発運営の責任者という大役を与えていただきました。この経験のなかで医師にとって本当に必要な医学英語のスキルをどう効率的に教育していけばいいのか,いろいろと試行錯誤を重ねてきました。患者さんを診察するのではなく,毎日ひたすら医学英語と医療通訳のことばかりを考えている私のような「変わり者」の医師が他になかなかいないのが理由かはわかりませんが,結果としてさまざまな大学から招待され,講演会や特別授業を行うことが非常に多くなりました。
 本書の目的は,講演会や特別授業でいつも話している内容をより多くの人と共有することです。医師や医学生の皆さんにとって本来集中して勉強すべきは医学そのもののはずであって英語や医学英語ではないはずです。本書によって読者の皆さんの医学英語学習が楽になり,英語が原因で自分の可能性を狭めることにならないことになれば望外の喜びです。

2016年12月
国際医療福祉大学 准教授
押味貴之
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目次

Chapter 1 医学英語とは?
 1 医学英語(医学英語教育)とは
 2 医学英語の定義
 3 医学英語学習を成功に導く“AID”
 
Chapter 2 論文読解の奥義
 1 論文の種類
 2 論文の基本構造:IMRaDとabstract
 3 論文の読み方
  Step 1 結論を類推しながらタイトルを確認しよう
  Step 2 研究規模を知るために研究グループ名と著者の所属機関を確認しよう
  Step 3 結論の真髄を見よう
  Step 4 Backgroundを見て研究の新規性・独自性を確認しよう
  Step 5 Methodsから研究方法を同定し,PICOを用いて仮説を検証しよう
  Step 6 比,信頼区間,p値を確認して結果を評価しよう
  Step 7 考察部分からパラグラフリーディングスキルを用いて結果の解釈と限界を同定しよう
  Step 8 Editorialを使って研究領域での論文の価値を同定しよう
  Step 9 Correspondenceを使って関連する研究を評価しよう
  Step 10 Conference reportを使って論文が社会に与える影響を考えよう
 
Chapter 3 プレゼンテーションの奥義
 1 プレゼンテーションのポイント
 2 プレゼンテーションのうまい進め方
  Step 1 Noといえないような感じで声をかける
  Step 2 タイトルをそのまま読まない
  Step 3 主任研究者ならPI(principal investigator) という
  Step 4 Conclusion(conclude)という言葉を使わない
  Step 5 研究のoriginal contribution(独自の貢献,新規性)をハッキリさせる
  Step 6 PICO/PECOを使ってスムーズに進める
  Step 7 比,信頼区間,p値をシンプルに述べる
  Step 8 解釈,普遍化能力(研究の限界),将来の展望
 3 質疑応答(Q&A, Questions and Answers)
 プレゼンテーションの表現集
 
Chapter 4 医療面接の奥義
 1 医療面接の基本構造
 2 医療面接の評価基準
 3 バイタルサイン(Vital signs)
 4 医療面接の10のステップ
  Step 1 挨拶と自己紹介
  Step 2 主訴をたずねる
  Step 3 現病歴をたずねる
  Step 4 リスクファクターをたずねる
  Step 5 患者さんの話をまとめる
  Step 6 身体診察を行う
  Step 7 臨床的印象を伝える
  Step 8 検査について説明する
  Step 9 患者教育を行う
  Step 10 患者さんからの質問に答える
 5 難しい質問に答えるための5つのステップ
  Step 1 患者さんの問題に対して関心を示す
  Step 2 患者さんの主張や心配事を繰り返して理解を示す
  Step 3 PEARLS のテクニックを使って患者さんを安心させる
  Step 4 質問に対して正直に,しかし外交的に答える
  Step 5 ほかに質問がないかたずねる
 医療面接の表現集
 練習用症例シナリオ
 
Chapter 5 症例報告の奥義
 1 症例報告とは
 2 症例報告のSAD
 3 症例報告の12のステップ
  Step 1 患者さんの確認,主訴(ID/Chief Complaint)
  Step 2 現病歴(History of Present Illness)
  Step 3 既往歴(Past Medical History)
  Step 4 家族歴(Family History)
  Step 5 社会歴(Social History)
  Step 6 現病歴以外の所見(Review of Systems)
  Step 7 身体診察(Physical Examination)
  Step 8 検査(Lab/Imaging Studies)
  Step 9 まとめ(Summary)
  Step 10 プロブレムリスト(Problem List)
  Step 11 評価と計画(Assessment and Plan)
  Step 12 結論(Conclusion)
 症例報告の表現集
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