高山赤十字病院 編

医療現場ですぐに役立つ 外国人患者対応マニュアル

医療現場ですぐに役立つ 外国人患者対応マニュアル

■監修 棚橋 忍

■編集 竹中 勝信

定価 3,850円(税込) (本体3,500円+税)

高山赤十字病院が培った「外国人患者対応ノウハウ」をこの1冊に完全凝縮!

岐阜県高山市は人口約9万人の小規模都市だが,2016年には約46万人の観光客が訪れた。その高山市の中核病院として機能している高山赤十字病院が培った「外国人患者対応のノウハウ」を余すことなく詰め込んだのが本書である。
本書は大きく「受付・看護」「診察」「薬剤」の3項目にわかれ,各項目ごとに「奔出する英会話フレーズ」と「英文資料(問診票,同意書,薬袋など)」が掲載されている。英文資料はすべてダウンロードが可能で,病院ですぐに使うことができる。
これからますます増加していく外国人患者にすばやく対応し,適切な医療を提供するために,ぜひ本書にあるノウハウを使って病院の国際化を進めていただきたい。


序文

増える外国人患者への対応

 高山市を訪れる外国人は年々増加し,国土交通省の調査によると平成26年度で約47万人が宿泊したと報告されています。それに伴い当院を受診する外国人も増えています。受診する外国人の年齢は小児から90歳まであり,受診の契機は疾病,外傷,交通事故など多彩です。診療科も内科,整形外科,小児科を中心にほぼ全科にわたっています。
 私も以前家族とアメリカに短期研修のために滞在したことがありました。一番の不安は言葉の問題ですが,次いで家族が病気をした時の病状,費用についての不安でした。当時滞在中に短期間に子供4人が下痢に罹患し大変不安で,医師の私にとっても大きな負担でした。一般の方が病気,外傷,事故等に遭遇すると,途方もない不安に曝され,金銭的にも負担が生ずることは容易に想像できますので,外国人患者さんには,可能な限り不安を軽減するような丁寧な対応を現場に指示してきました。
 しかし,外国人患者さんが増加するにつれて診療現場の負担も多くなってきていたため,当院は平成26年9月より日本語が話せない外国人患者さんのために,「高山赤十字病院おもてなしプロジェクト」チームを結成し,外国人にも地域住民と同じ医療を受けてもらうことを合言葉に活動を始めています。院内の表示に英語,中国語を加え,各外国語に対応した問診マニュアルなどを整備しました。また,高山市の担当者より医療現場を想定した英会話の研修を受けています。また,職員の中から医療通訳サポーターを募って対応してもらっています。
 今後,2020年の東京オリンピックを控え外国人観光客は増加し,それにつれて外国人患者さんは今以上に増加すると思われます。外国人患者さんの増加に伴い医療現場では言語,費用,家族対応,医療安全などさまざまな問題が患者さんの数以上の負担になります。国際観光都市の中にある地方病院が都会並みに人材,態勢を準備することは困難が予想されますが,今までの当院の取り組みをご紹介することにより,同じような問題に苦労されている地方病院の今後の対応に参考になればと思い『外国人患者対応マニュアル』を発刊します。いまだ十分とはいえませんが,参考になればと願っています。

平成29年1月
高山赤十字病院 院長
棚橋 忍
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目次

Prologue はじめに
 1 増え続ける外国人観光客,外国人患者
 2 診療にも「おもてなし」の心を

Chapter 1 知っておきたい医療保険の知識
 1-1 外国人観光客の医療保険はどうなっているか?
  国民健康保険法から抜粋
  国民健康保険法施行規則から抜粋
 1-2 日本の公的健康保険が使えるケース
 1-3 日本の公的健康保険が使えないケース

Chapter 2 日本人とはここが違う! 外国人患者さんを診る際の注意点
 2-1 患者さんの国の風習や文化,宗教を尊重し,医療行為の際にも配慮する
 2-2 入院時には食事にも配慮を
 2-3 薬や検査,治療法に対する考え方の違いにも注意
  薬剤の確認の難しさ
  患者さんに丁寧に説明することの大切さ
  検査はメリットとデメリットを明確に
 2-4 旅行者特有の事情
  診断書について

Chapter 3 院内環境の整備—外国人に対する「バリアフリー化」を進めよう!
 3-1 院内マップ,院内表示の多言語化
  診療科
  検査室
  救急,入院
  その他
  大学
  病院
  研究機関
 3-2 各種説明書類もどんどん多言語化しよう
 3-3 日本語以外の言語で対応できる人材を育成しよう
  院内スタッフの育成
 3-4 備えあれば憂いなし!—リスク回避のための準備と心構え
  インフォームド・コンセントは入念に
  金銭トラブルの予防線を張る
  正当なクレームには誠意をもって対応する
 3-5 困ったときに活用できる外部リソースを確保する—言語以外のコミュニケーションスキルも磨こう
  医療通訳者の活用と,院内スタッフの育成

Chapter 4 実践! 英語表現(受付・看護編)
 4-1 受付,看護の基本ルーティン
  受付
  待合室
  移動
  診察室に呼ぶ時
  自己紹介など
  体温を測る
  尿検査
  心電図
  血液検査
  X線検査
  化学療法
  検査終了
  点滴
  皮膚の状態を確認する
  清拭
  入退院手続き
  入院生活
  会計
  最後の挨拶
  その他
 4-2 救急外来の看護師にはどんなコミュニケーションスキルが必要か
  看護師さんにアンケートをとってみたら…
  外国人患者さんと意思疎通するために
  どんな英会話フレーズが必要?
  英会話の勉強会を開催してみたが…
  すぐに使える英会話フレーズの実例

Chapter 5 実践! 英語表現(診察編)
 5-1 診察の基本ルーティン
  最初の挨拶
  自己紹介
  問診
  背景の確認
  相づち
  身体診察
  診断,説明
  注射,治療
  最後の挨拶
  患者さんからの表現
 5-2 医療現場でよく使われる英単語
  症候,徴候など
  病院,入退院など
  治療など
  書類など
  検査など
  妊娠・出産など
  その他
  略語

Chapter 6 実践! 英語表現(薬剤部編)
 6-1 薬剤部での基本ルーティン
  薬局での会話例
  薬局で頻出する英単語
 6-2 薬剤部での英語表現
  アメリカでの処方箋の書き方
 6-3 外国人患者さんが使っている薬の検索方法
  ケース1 台湾人の患者さん
  ケース2 手術予定のアメリカ人の患者さん
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