超広角でみる眼底病変診断

超広角でみる眼底病変診断

■編集 平形 明人
大路 正人
井上 真
瓶井 資弘

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • B5変型判  220ページ  オールカラー
  • 2015年3月24日刊行
  • ISBN978-4-7583-1095-6

最新の眼底撮影法を知り,画像の読影をマスターし,病巣を確実に診断するための手引き書

新しい眼底撮影法の「超広角眼底撮影法」は直角200°の撮影が可能であり,従来の眼底撮影とは比較にならない範囲の観察や撮影ができる。さらにフルオレセイン造影検査(FA)や眼底自発蛍光撮影(FAF)も広角で撮影できるようになった。したがって今までは観察はできても記録が難しかった位置の病巣撮影ができたり,広角FAやFAFで新たな発見ができ病態理解が深まることが可能となった。しかし,正確に所見を診断するにはコツやポイントがある。
本書は超広角眼底撮影した頻度の高い疾患を中心に多くのバリエーションを掲載。また,再剥離した症例,再手術した症例など合併症例もできるだけ呈示。その画像1つ1つにコツやポイントを付記し,初心者でも病巣を見逃さないための手引書となっている。


序文

 眼科の魅力のひとつは,神経や血管の集まった眼底を検眼鏡などを介して直接観察することができることです。最近登場した超広角眼底写真は,この魅力をまさに刺激してくれます。病像全体が捉えやすく,眼底周辺部の記録も可能となりました。したがって,超広角写真の読影に慣れるといろいろな病態が理解しやすくなります。本書は,超広角写真の特性を習熟できるように,代表的疾患の広角写真を集めて編集しました。
 これまで,さまざまな眼底検査機器の発達とともに眼科診療は進歩してきました。1920年代に眼底カメラが開発され,眼底病変の記録ができるようになり,1960年代には蛍光眼底造影カメラが登場して,眼底の循環動態や滲出性変化などが分析できるようになりました。また,病態によってはパノラマ眼底写真やパノラマ蛍光造影眼底写真などを駆使するようになり,たとえば糖尿病網膜症の病像の全体像を捉えて治療方針を検討するなど,診療の現場で貢献してきました。
 今回の超広角眼底写真は,通常の白色光を利用した眼底写真と異なり,レーザー光を用いて撮影しているため色調が異なり,初めは眼底写真の記録として不適切な印象を受ける方もいらっしゃると思います。しかし,実際に検査をしてみると,一回の撮影で広角眼底の情報が得られる利点が多く,スタッフの皆と病像を供覧して相談しやすいことが実感できるでしょう。しかも,無散瞳でも,小児でも,眼振を有する症例でも,比較的容易に記録が可能です。また,蛍光造影や自発蛍光も可能で,眼底周辺までの病変の全体像を評価する手段が増え,その病態理解と治療手段の検討が行いやすくなります。
 しかし,この超広角眼底写真には,これまでの眼底写真と異なるいくつかの特徴があります。色調,後極と周辺の拡大率の違い,撮影上のアーティファクトなど,読影には注意する点が多くあり,慣れが必要です。これらを理解して実際の撮影を工夫すれば,これまで難しかった眼底のさらに周辺部の記録も可能となります。そして,読影に慣れ,眼底全体の病態の表現ができると,手術を含めた治療法の検討や治療前後の患者への説明も容易となります。
 眼科治療法は手術を含め常に進歩し続けています。現在,眼底後極の病態理解には欠かせない光干渉断層計(OCT)所見とともに,広角眼底写真で表現される病態把握の読影に慣れることで,治療法の検討は間違いなく深まります。私たち編者の恩師である樋田哲夫先生や田野保雄先生は,網膜硝子体手術の一流の指導者でしたが,常に手術のディスカッション(discussion)を奨励していました。本書ではそれぞれの疾患に関して,著者から読影や治療法のポイントを簡潔に記載していただきました。読者の皆様には,これまで表現しにくかった眼底周辺部病態の治療などに関する著者の治療方針についてご検討ください。読後,ディスカッションが可能なくらい本書のつくりが病像の全体像を把握できることに気付かれると思います。どうかご活用ください。
 最後に,執筆を担当して下さった先生方や眼底写真撮影を担当した眼科検査員諸氏,また編集にご尽力いただいたメジカルビュー社の吉川みゆき氏に深謝いたします。

2015年2月
平形 明人
大路 正人
井上 真
瓶井 資弘
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目次

Ⅰ超広角眼底撮影の基本を知ろう
 ■Optos200Tx
  Optos200Txの概要と特徴
  Optos200Tx撮り方のコツ
  眼底像,蛍光像のメリット・デメリット
 ■Heidelberg Spectralis,ほか
  Heidelberg Spectralisの概要と特徴
  HRAウルトラワイドフィールドレンズ 撮り方のコツ
  眼底像,蛍光像のメリット・デメリット
 
Ⅱ疾患別画像を知り,診断・治療のポイントを学ぼう
 ■網膜血管病変
  糖尿病網膜症
   単純糖尿病網膜症(ごく軽症)
   単純糖尿病網膜症(中等症),糖尿病黄斑浮腫
   増殖前糖尿病網膜症
   増殖糖尿病網膜症(増殖膜のある症例)
   増殖糖尿病網膜症(軽度硝子体出血のある症例)
  網膜静脈閉塞症
   網膜静脈分枝閉塞症
   網膜中心静脈閉塞症
  その他の血管病変
   周辺部の網膜血管腫
   Coats病
   von Hippel-Lindau病
   Eales病
   家族性滲出性硝子体網膜症
 ■黄斑疾患
  加齢黄斑変性
   滲出型
   萎縮型
  Reticular Pseudodrusen
  病的近視
  黄斑円孔
   外傷性黄斑円孔
   糖尿病黄斑浮腫に続発する黄斑円孔
   裂孔原性網膜剝離に続発する黄斑円孔
  黄斑上膜
   続発性黄斑上膜
   眼底周辺に病巣を伴う症例
 ■網膜変性症
  網膜色素変性
   定型的網膜色素変性
   非定型的網膜色素変性
  網膜色素変性類縁疾患
   色素性傍静脈網脈絡膜萎縮症
   コロイデレミア
 ■網膜剝離
  裂孔原性網膜剝離
   最も多い上方弁状裂孔原性網膜剝離
   上方弁状裂孔網膜剝離(バックル症例)
   下方弁状裂孔網膜剝離(硝子体手術症例)
   下方弁状裂孔網膜剝離(バックル症例)
   強度近視眼での格子状変性内円孔による網膜剝離(バックル症例)
  アトピー性皮膚炎に伴う網膜剝離
   白内障合併例(バックル症例)
   白内障合併例(硝子体手術症例)
  外傷性網膜剝離
  黄斑円孔網膜剝離
 ■先天異常
  視神経乳頭ピットに伴う網膜剝離
  朝顔症候群に伴う網膜剝離
  先天網膜分離
 ■ぶどう膜炎
  原田病
  サルコイドーシス
  急性網膜壊死
  眼内悪性リンパ腫
  多発性後極部網膜色素上皮症
 ■その他の超広角眼底撮影が有用な症例
  脈絡膜骨腫
  放射線網膜症
  眼科健康診断(眼底検査)での超広角眼底撮影の利用
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