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産科大出血

危機的出血への対応と確実な止血戦略

産科大出血

■担当編集委員 竹田 省

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  176ページ  オールカラー,イラスト200点,写真80点
  • 2012年4月16日刊行
  • ISBN978-4-7583-1209-7

産婦人科医として必ず知っておきたい「産科大出血」への対応について,エキスパートが詳細に解説

No.10では,「産科大出血」というテーマについて取り上げている。
経験豊富な術者による“手術のコツと注意点”を中心に,豊富なイラストでわかりやすく解説しており,産科出血への対応の向上に役立つ1冊である。帝王切開率が上昇している昨今,多くの医師が直面する可能性がある「大出血」への対応は,産婦人科医としては必ず習得しておきたい技術であり,本書では最前線で活躍している専門家の経験を元にシチュエーションに合わせて,さまざまな最新の「止血」に対する考え方,対応,管理法を紹介,解説している。
経験を積んだ医師にとっても,日常の臨床において危機的状況を避け,また直面した際の対応法を示す,頼もしい先達となるであろう。

■シリーズ編集委員
平松祐司/小西郁生/櫻木範明/竹田 省


序文

序文―出血との戦いの記録―

 産婦人科医として研修をはじめて34年,産科出血にはいろいろな思いがある。麻酔科2年研修後,全身管理に自信をもって産婦人科に転向した。研修2年目に分娩直後からの弛緩出血,DICの症例は,早期から人工呼吸器管理,子宮摘出,全身管理をしたものの出血のコントロールがつかず,多臓器不全で救命できなかった。廊下に延々と並んだ空の輸血瓶が虚しかった。大学にもどって帝切既往の低位胎盤症例の帝王切開術では,胎盤剥離面の出血が止まらず,子宮摘出を行った。出血量7,000mlであり,私が経験したplacenta accretaの最初の症例であった。このときcompression sutureを知っていたなら,どうなっていたであろうか?まだ帝王切開率が6%の時代だった。
 大学で7年研修後,日本で最初に総合周産期センターとなった病院開設のため赴任した。数年目に他院での既往帝切例での帝切中大量出血の母体搬送を2例経験した。1例はDOAであったが,もう1例は再開腹し,膀胱部分切除,子宮全摘術を行った。DICを併発し,埼玉県のB型血がなくなり,東京からRCC,FFP,血小板血が運ばれ,救命できた。出血量は20,000mlを優に超えていた。
 そのころ4回帝王切開既往例の稽留流産手術で出血が止まらず,子宮全摘術となった。帝王切開瘢痕部妊娠であった。大量輸血し救命した症例から,nonA nonB肝炎が発症したため,妊婦での自己血輸血を全国に先駆けて開始した。後にC型肝炎と言われるようになった。現在,この病院の帝王切開率は50%を超えている。
 長年戦ってきた出血に対する各医師の思いをこの特集「こんな時どうする?」(No.9〜12のテーマ)の「産科大出血」の行間に読み取っていただきたい。
 最前線で活躍されている専門家に,経験を踏まえて最新の「止血」に対する考え方,対応,管理法について解説いただいた。
 総論では,産科危機的出血への対応,緊急輸血法,最新のDIC治療,最新の止血法・戦略,麻酔法などを解説いただき,各論では「こんな時どうする?」に直接答えていただいた。臨床の先生方に是非手にとって参考にしていただきたいものになっている。
 各執筆者の思いが伝われば幸いである。

2012年3月
竹田 省
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目次

総論
 産科危機的出血への対応ガイドライン 久保隆彦
 緊急輸血法 田中利隆ほか
 子宮出血の止血法 牧野真太郎ほか
 IVR 曽根美雪ほか
 大量出血時の麻酔 角倉弘行ほか
 
各論:こんなときどうする?
 危機的産褥出血に対する腹部動脈balloon occlusion法 村山敬彦
 帝王切開瘢痕部妊娠 依藤崇志ほか
 腟壁裂傷,会陰Ⅳ度裂傷 近藤英治ほか
 頸管裂傷,頸管挫滅 関 博之
 子宮破裂 橋口幹夫
 血腫 —外陰血腫,腟血腫,後腹膜腔血腫— 浅野 真ほか
 弛緩出血 —子宮内バルーンタンポナーデ法による止血法— 高島 健
 内反症 林 周作ほか
 帝王切開時の対応
  創部や癒着部からの出血 菊地範彦ほか
  前置胎盤・侵入胎盤 —ターニケット駆血,U字縫合,子宮底部横切開を駆使するトラブル回避戦略— 小辻文和
  子宮筋腫に関連した出血 平松祐司
  嵌頓子宮,頸部延長例 竹田 省
 産褥出血 松原茂樹ほか
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