泌尿器科手術における血管外科

泌尿器科手術における血管外科

■編集 田邉 一成

定価 16,500円(税込) (本体15,000円+税)
  • i_movie.jpg
  • B5判  264ページ  オールカラー,イラスト300点,写真200点,Web動画視聴権付き(8本/計42分)
  • 2015年3月27日刊行
  • ISBN978-4-7583-1263-9

泌尿器科手術の基本となる血管外科を図説で詳解。泌尿器科医必携の書!

泌尿器科手術において,血管の解剖学的知識と正しく安全な血管の処置は不可欠である。現在泌尿器科では,開腹手術,腹腔鏡下手術,ロボット手術の3つの術式が施行されており,同じ疾患の手術であっても,それぞれで術野が異なり,また血管の操作手技も異なる。
本書では,泌尿器科領域における血管の解剖,血管を扱う器具と基本手技を3つの術式ごとに解説し,各手術を安全に完遂するための,安全・確実な血管の操作と処置のノウハウを解説。豊富なイラスト・写真とストリーミング動画で,現在の泌尿器科手術における血管外科手技を習得できる一冊。


序文

 泌尿器科医の手術の主戦場は後腹膜腔であり,後腹膜腔で最も取扱いに注意しなければいけないのは血管であることに異論はないであろう。
 多くの泌尿器科医にとって血管の扱い方,血管合併症への対応は最も苦手としている分野ではないかと思われる。かくいう筆者も血管外科について研鑽を積む前は手術中,大血管が見えて出血などしようものならどのように対処すればよいのか大いに困ったものである。透析患者さんのブラッドアクセス手術,腎移植における血管吻合などを多数経験し,血管外科について勉強して初めて自信をもって血管の処理ができるようになったのである。
 泌尿器科領域の手術野の近傍には常に大血管があり泌尿器系臓器の剥離は血管を剥離すると言い換えても差し支えないと思われる。すなわち,泌尿器科領域の手術を安全に行うには血管の解剖を熟知し,その取り扱いに熟練していることが最も重要なポイントである。
 しかしながら最近では多くの泌尿器科医が血管の扱いに習熟できていないのが現状である。さらに手術に関する成書の多くは血管の扱いについて,その詳細を述べていないことが多い。
 本書では,いくつかの泌尿器科の典型的手術例をあげながら,主に血管の解剖,血管の扱い方,血管合併症をいかにして防ぐか,血管合併症に対して如何にして対応するかなど,泌尿器科手術を行うに当たって必要な血管外科手技について理論的背景を述べつつその実際について解説した。
 本書が若い泌尿器科医の血管外科研修の一助となれば望外の喜びである。

2015年2月
田邉一成
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目次

泌尿器血管外科の基礎と基本手技
 腹部血管の解剖
   血管の構造
   腹部大動脈および主要分枝
   下大静脈(IVC),腸骨静脈
 血管を扱うための器具と使用方法
 ■開腹手術
   血管の剥離に用いる器具
   血流遮断に用いる器具
   血管の切開,縫合に用いる器具
 ■腹腔鏡・後腹膜鏡手術
   血管の剥離に用いられる器具と剥離の手技
   血管周囲組織の切離に用いる器械とその方法
 ■ロボット手術
   da Vinci による前立腺全摘除術と腎部分切除術
   鉗子の種類と使用目的
   縫合糸:V-LokTM 180 closure device
   クリップ
   ステープラ:エンドGIATM トライステープルTM
   各手術における使用方法
 血管外科の基本手技
 ■血管処理の基本手技
   血管外科の基本手技
   血管の露出・保持
   血管の剥離
   血流の遮断
   血管の切断・切開
   血管の吻合
   吻合部からの出血の対処法
 ■主要血管と手技
  大動脈
   大動脈および分枝の解剖
   大動脈へのアプローチ
   大動脈周囲の剥離
   大動脈剥離時のトラブルシューティング
  大静脈
   リンパ節郭清における下大静脈の扱い方
   下大静脈腫瘍塞栓における下大静脈の扱い方
  副腎の血管
   副腎動脈
   副腎静脈
   副腎静脈へのアプローチ方法
  腎の血管
   腎摘出と解剖-後方アプローチ-
   腎摘出と解剖-前方アプローチ-
  骨盤内の血管
   動脈系
   静脈系
   前立腺周囲の静脈系
各手術における血管外科手技の実際
 腎全摘除術
 ■開腹手術
   開腹腎摘除術の適応
   腎茎への到達法
   腎茎における血管処理
   腎摘除
   閉創
   術後の管理
 ■腹腔鏡手術・後腹膜鏡手術
   後腹膜アプローチ
   経腹的アプローチ
 腎部分切除術
 ■開腹手術
   腎頸部処理
   腫瘍切除
 ■腹腔鏡手術・後腹膜鏡手術
   ポート位置
   術野における腎動静脈の解剖
   腎門部剥離における注意すべきポイント
   腎門部クランプの方法
 ■ロボット手術
   体位,ポート設置
   ターゲットの位置確認とpatient cart の進入方向
   手術の実際
   腎静脈本幹および分枝の損傷・出血への対応
 前立腺全摘除術と膀胱全摘除術
 ■開腹手術
  恥骨後式前立腺全摘除術
   手術適応
   術前準備,手術体位
   術式の概要(血管処理を中心に)
   術後管理と合併症
  開腹膀胱全摘除術
   手術適応
   術前準備,手術体位
   術式の概要(血管処理を中心に)
   術後管理と合併症
 ■腹腔鏡・後腹膜腔鏡手術
  腹腔鏡下前立腺全摘除術
   手術適応
   術前準備,手術体位
   術式の概要(血管処理を中心として)
   術後経過と合併症
  腹腔鏡下膀胱全摘除術
   手術適応
   術前準備,手術体位
   術式の概要
   男性の腹腔鏡下膀胱全摘除術
   女性の腹腔鏡下膀胱全摘術
   リンパ節郭清
   尿路変向
 ■ロボット支援前立腺全摘除術
   体位,ポート設置
   手術の実際
   拡大リンパ節郭清
 下大静脈塞栓の手術
   術前の準備
   手術手技
 腎動脈瘤の手術
   疫学
   手術の適応
   術前評価
   手術手技
 リンパ節郭清に伴う血管の処理
   腎盂癌,上部尿管癌のリンパ節郭清
   下部尿管癌,膀胱癌
 泌尿器領域のIVR(画像下治療)
   腎出血に対する腎動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization;TAE)
   腎部分切除術後の仮性動脈瘤に対するTAE
   腎動脈瘤に対するTAE
   腎動静脈奇形に対するTAE
   腎腫瘍に対するTAE
   腎動脈血管形成術(percutaneous transluminal renal angioplasty;PTRA)
   まとめ
 バスキュラーアクセス術
 ■内シャント作製術(橈骨動脈および橈側皮静脈の吻合の場合)
   静脈の剥離
   動脈の剥離
   動静脈吻合の準備
   動静脈の吻合
   皮膚の閉鎖
 ■人工血管作製術
   吻合部の決定
   グラフト吻合部の準備
   部位の選択
   グラフト縫合の手順と工夫
   皮膚縫合の注意(人工血管の折り返し部位)
 腎移植手術
 ■生体ドナー腎採取術(経後腹膜的アプローチ)
   血管の術前評価
   血管剥離の一般的な注意点
   血管処理に使用する機器に関する一般的な注意点
   血管剥離の実際
 ■献腎ドナー腎摘出術
   脳死ドナーからの腎摘出術
   心停止ドナーからの腎摘出術(含 カテーテル挿入法)
   動物トレーニングにみる腎摘出術の実際
 ■同種腎移植術
   皮膚切開と後腹膜腔へのアプローチ
   移植床の準備と血管剥離
   バックテーブルでの処理
   血管吻合
 ■自家腎移植術
   自家腎移植の適応
   術前評価
   手術手技
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