肘関節手術のすべて

肘関節手術のすべて

■編集 今谷 潤也

■編集協力 秋田 恵一
二村 昭元

定価 19,800円(税込) (本体18,000円+税)
  • A4判  408ページ  オールカラー,イラスト500点,写真350点
  • 2015年9月3日刊行
  • ISBN978-4-7583-1365-0

肘のすべてがここにある!

肘関節は3つの骨,内・外多数の筋肉・神経から複雑な構造を持ち,骨折や神経障害,軟骨損傷などの疾患・外傷にも多くのパターンがある。本書では手術における解剖を重要視し『Anatomical key Shot』として筋肉や神経の付着・走行などを克明に記載している。これらの情報に基づき,肘関節の主な手術の診断・適応・アプローチ,そして手技を豊富なイラストとともに明示している。
「すべて」の名の通り,肘関節の治療に携わる医師にとって必要なものが集約された1冊である。


序文

 肘関節の手術療法はこの二十年の間に大きく進歩した.しかし,肘関節外科の領域は外傷性疾患,スポーツ・関節症性疾患,紋扼性神経障害,先天奇形を含む小児疾患など多岐にわたり,最良のアプローチ法や手術方法などについては未だ多くの解決すべき問題点を残している.また同関節周囲の解剖は極めて複雑であり,正確な手術手技を実践するにはこれを熟知することが重要である.この度メジカルビュー社からの勧めもあり,肘関節の正しい解剖の理解に基づく手術手技書を企画・編集させていただいた.
 今回は,肘関節疾患に対して積極的に取り組んでいる一流の諸先生方に,最新かつ非常に内容の濃い原稿をご執筆いただいた.この場を借りて深謝申し上げる.同時に各著者により選択していただいた手術の施行に最も重要な解剖学的な事項について,東京医科歯科大臨床解剖学教室秋田恵一教授,二村昭元助教のご協力により解剖標本を用いた多数の鮮明な写真に加えて,これらを元に書き起こしたイラストをAnatomical Key Shotとして掲載することができた.さらに各著者間で解剖学的な表現方法や定義にできるだけ相違点のないよう校正を重ねた.皆様のおかげで,これまでにない特徴ある手術手技書となったと自負している.本書を手術に必要な肘関節機能解剖の理解および実際の臨床現場での正しい手術の実施に役立ててもらえれば幸いである.
 最後に,特別編集として素晴らしいAnatomical Key Shotをご用意いただき,かつ解剖学的な細かな点までご校正をいただいた秋田,二村両先生,そして本書の出版に粘り強くご尽力いただいたメジカルビュー編集部 苅谷竜太郎氏に深甚なる謝意を表したい.

2015年 初夏
岡山済生会総合病院整形外科
今谷 潤也
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書評

 岡山での日本肘関節学会に参加中,今谷潤也先生からご自身が編集された本の書評を依頼されました。今谷先生は私が最も尊敬する「肘関節外科医(Elbow Surgeon)」のお一人ですので,喜んでお引き受けさせていただきますとお返事をいたしました。本を見るのを楽しみにしておりました。
 そして『肘関節手術のすべて』を拝見し,書名に「肘関節手術のすべて」とされているように肘関節の外傷・疾患,小児の肘外傷・障害・疾患に対するあらゆる手術と,手術に必要な肘関節のバイオメカニクスとが網羅されており,この1冊で肘関節に対する手術のすべてを知ることができる本となっています。まさに肘関節手術のMaster Techniquesを知ることができると思います。
 本書の特徴の1つは,何といっても編集協力として秋田恵一先生,二村昭元先生のお二人の解剖学者を加えたことと思います。手術の施行に最も重要な機能解剖について,解剖標本を用いた多数の鮮明な写真に加えて,これらを基に描き起こしたイラストを“Anatomical Key Shot”として掲載しています。これらにより初めて行う手術についてさえも,術者にきわめて有用な情報を提供してくれることと思います。この試みは私の知る限りでは初めてのことではないかと思います。
 もう1つの特徴は,執筆者の錚々たる顔ぶれです。わが国におけるこの方面の第一人者のほとんどの先生が執筆に参加されておられ,機能解剖の知識および豊富な経験に基づくきわめて丁寧な記述がなされています。編者の今谷先生が大変なご苦労をされて,もっともふさわしい執筆者を選ばれて,そして依頼された成果と思います。今谷先生に心から敬意を表したいと思います。
 メジカルビュー社の書籍はイラスト(図)の正確さ,美しさについては定評があるところであり,本書も本当にきれいでわかりやすく,読者を飽きさせないものがあります。
 本書は実践的な手術書ですので,肘関節外科手術の素人の方に読んでいただきたいといいたいところですが,やはり整形外科全体にわたる基礎知識があり,臨床経験をある程度積んだ先生に是非読んでいただきたいと思います。もちろん,肘関節外科医,手の外科医にとってはおそらく座右の書となるものと思います。

評者:三浪明男
北海道大学名誉教授
北海道中央労災病院せき損センター院長
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目次

Ⅰ.肘関節外傷の治療
 成人上腕骨遠位端骨折  今谷潤也
 肘頭骨折    今谷潤也
 (尺骨)鉤状突起骨折  今谷潤也
 橈骨頭・頚部骨折
  OR+IF  鈴木克侍
  人工橈骨頭  小林 誠
 Monteggia脱臼骨折  泉山 公
 Essex-Lopresti骨折におけるpatellar bone-tendon-bone(BTB)を用いた前腕骨間膜再建術  中村俊康
 外傷性肘関節靱帯損傷  今谷潤也
 肘関節後外側回旋不安定症  今谷潤也
 肘関節手術に必要な皮弁形成  光嶋 勲

Ⅱ.肘関節疾患の治療
 肘内側側副靱帯障害(スポーツ障害)
    再建術の変遷と現時点のコンセンサス  伊藤恵康,ほか
    スポーツ障害としての肘内側尺側側副靱帯損傷  伊藤恵康,ほか
 離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭)
  術式選択  丸山真博,ほか
  鏡視下および直視下穿孔・掻爬術  島田幸造
  吉津法  森谷浩治,ほか 
  モザイクプラスティー  岩崎倫政
  肋骨肋軟骨移植術を用いた関節形成術  佐藤和毅
 肘頭骨端離開・疲労骨折  古島弘三,ほか
 上腕骨外側上顆炎(内側上顆炎)
  直視下法  副島 修
  テニス肘の鏡視下手術  佐々木浩一,ほか
 人工肘関節(TEA)
  TEA総論  稲垣克記
  Unlinked type人工肘関節  池上博泰
  Linked type人工肘関節  稲垣克記
 肘関節部の末梢神経障害
  特発性前骨間神経麻痺,特発性後骨間神経麻痺  越智健介,ほか
  橈骨神経管症候群  橋詰博行
  肘部管症候群に対する血管柄温存尺骨神経皮下前方移動術  中村恒一,ほか
 肘関節拘縮
  内・外側進入法  堀井恵美子
  津下法  兒玉 祥,ほか
  鏡視下法  菅谷啓之
 内反肘・外反肘  村瀬 剛
 滑膜切除術  橋詰謙三,ほか

Ⅲ.小児の肘外傷,障害・疾患
 小児上腕骨顆上骨折  佐竹美彦,ほか
 小児上腕骨内側上顆骨折  宍戸孝明
 小児上腕骨外顆骨折  森谷史朗,ほか
 上腕骨外顆偽関節の手術療法  島田幸造,ほか
 先天性橈尺骨癒合症  金城政樹

Ⅳ.バイオメカニクス
 手術に必要な肘関節のバイオメカニクス  森友寿夫
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