心房細動カテーテルアブレーション

心房細動カテーテルアブレーション

■編集 山根 禎一

定価 11,000円(税込) (本体10,000円+税)
  • B5判  392ページ  上製,カラー/2色,写真1,000点
  • 2013年3月25日刊行
  • ISBN978-4-7583-1406-0

心房細動カテーテルアブレーションを行う前の心構えから実手技,トラブルシューティング,薬剤との関わり方,インフォームドコンセントを網羅したすべてがわかる必読書

心房細動は,高齢者の5%を占めるたいへん患者数の多い不整脈である。超高齢社会を迎える現在,更なる患者数の増加が見込まれる。このような状況のなか,ペースメーカの植込み手技,Maze手術といった開胸手術,ワルファリン内服といった抗凝固療法の他に,カテーテルアブレーションによる心房細動治療が現在,急速に普及している。
当初は発作性心房細動のみへの適応であったが,現在は幅広く,慢性,および持続性心房細動に対しても手技が行われ,治療成績や安全性も向上し,多くの医師が取り組むようになってきた。また,昨今は3-D mappingの技術も進化し,10年前には珍しかった機器が多くの施設に設置されている。一方で,まだまだ不安要素も多く,心房細動カテーテルアブレーションに取り組みたいと考える医師にとって学ぶ機会が少ないのが現状である。
そこで,本書では,カテーテルアブレーションを行う前に知っておくべきこと,実際の手技,合併症などに対するトラブルシューティング,術後の抗凝固療法といった薬剤との関わり方,インフォームドコンセントの方法といった内容を網羅し,本書のみで心房細動カテーテルアブレーションについてすべてわかる構成とした。


序文

 不治の病とされていた心房細動がカテーテル手技により根治可能な疾患となって10余年が経過した。この間の疾患の理解,新しい手技の開発,治療機器の進歩には目覚ましいものがあり,それとともに治療施設数も激増している。いわば,心房細動カテーテルアブレーションは当初のような特別な手技ではなくなり,一般的疾患(common disease)に対する通常の治療法(routine therapy)として確立した手技になりつつあるともいえる。
 その一方で心房細動カテーテルアブレーションはまだまだ発展途上の治療であることも否めない。安全性や有効性の向上,術後再発の問題,進行例への挑戦など多くの課題がいまだに残っており,日々第一線の臨床家・研究者達がそれを克服すべく取り組んでいる。
 本書は4年前に「心房細動アブレーションを究める」という書名で刊行され,大きな反響を得た。光陰矢の如くその後もこの治療法は大きな発展を続けており,今回内容を刷新することとなった。書名も新たに「心房細動カテーテルアブレーション」に変更し,新書として再編集した。前書同様に心房細動カテーテルアブレーションに関係する基礎から臨床までのトップクラスの先生方にご協力をいただき,より素晴らしい内容の本を新たに作成することができた。日本全体で日々行われているオールジャパンの心房細動治療を網羅し,今後の礎石となると確信している。
 近年の3-D mappingの発展により,カテーテルアブレーションにおける基礎的な電気生理学はやや軽視される傾向にあるように感じられる。しかし,これから心房細動アブレーションの深い道を志す方々には,単なるテクニックだけではなく,その源流に流れるアブレーションスピリットを継承してほしい。本書が,日本ならではのきめ細かい電気生理を重視した心房細動カテーテルアブレーションの益々の発展に寄与できれば,望外の幸せである。

平成25年3月  
東京慈恵会医科大学循環器内科准教授
山根禎一
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目次

Ⅰ.心房細動カテーテルアブレーションの基礎知識
 1.心房細動カテーテルアブレーション総論  家坂義人
 心房細動カテーテルアブレーションの誕生/PAFに対するCA戦略−PVI法の確立/持続性AFに向けた基質修飾法の開発/長期持続性(慢性)AF(CAF)治療に向けた基質修飾法の開発/CFAEの発生機序に関する新しい知見/CAFの発生機序に関する論争/心房細動カテーテルアブレーションの現状と展望
 
 2.心房細動カテーテルアブレーションに必要な解剖学  井川 修
 左・右肺静脈と左房の位置関係/左房構造(注)左房の領域分類について/右房,上大静脈および下大静脈構造
 
 3.心房細動の発生メカニズムー電気生理・遺伝子・リモデリングー  古川哲史
 心房細動のトリガー機構−肺静脈心筋袖の異常興奮/心房細動の維持機構−リモデリング/心房細動発生の遺伝的背景/
 
 4-①.心房細動カテーテルアブレーションの適応:学会のガイドライン  奥村 謙
 心房細動治療ガイドラインの基本的考え方/AFに対するカテーテルアブレーションの適応
 
 4-②.心房細動カテーテルアブレーションの適応:慢性心房細動の患者選択,セレクション  蜂谷 仁
 ガイドラインにおけるカテーテルアブレーションの適応,有効性/sequential bi-atrial linear defragmentation approach in Tsuchiuraによる研究結果/srepwise ablationによる研究結果/慢性心房細動に対するアブレーション術前の抗不整脈薬効果/まとめ
 
Ⅱ.心房細動カテーテルアブレーション術前術中管理
 1. 抗凝固療法  木村雄弘,髙月誠司
 術前管理/術中管理/術後管理/新しい抗凝固療法の選択肢/直接トロンビン阻害薬(ダビガトラン)/直接Xa阻害薬/どの薬剤を選択するか/選択肢の多様化
 
 2. 画像診断:経食道心エコーおよび心臓CT  加藤律史
 心房細動アブレーションに必要な画像診断/心エコー/CT,MRI
 
 3. 術中麻酔管理  宮内靖史
 鎮静・麻酔の種類と定義/アブレーション中の鎮静の現状/鎮静に用いる薬剤/安全に鎮静を行うために必要な物品・設備と監視体制/今後の展望
 
Ⅲ. 心房細動カテーテルアブレーション手技オール図解
 1.Brockenbrough法  浅野 拓,小林洋一
 Brockenbrough法(経心房中隔穿刺法)とは/手技の準備/Brockenbrough法の実際/基本に忠実に,熟練を目指す
 
 肺静脈隔離術
 2-①.anatomical approach  里見和浩
 肺静脈隔離術とは/解剖学的焼灼線の決め方/効果的な焼灼を得るために/far field potentialの読み方/三次元マッピングを行うにあたって

 2-②.電位指標アプローチ  伊達太郎
 肺静脈と心房細動/電位指標アプローチによる肺静脈隔離術の実際/より正確な肺静脈隔離のために
 
 2-③.EEPVI(extensive encircling pulmonary vein isolation)  高橋 淳
 EEPVI(同側拡大肺静脈隔離術とは)/拡大肺静脈隔離術の前処置/左房および肺静脈造影/洞調律下,低容量イソプロテレノール投与下の拡大肺静脈隔離術/double LASSOテクニック/EEPVI焼灼中の残存伝導部位の同定/持続性および長期持続性心房細動に対するEEPVIの有効性/EEPVIの汎用性
 
 2-④.Box isolation  熊谷浩一郎
 Box isolationの利点/Box isolationの実際/持続性/長期持続性心房細動に対するアプローチ/Box isolationの成績
 
 細胞基質のアブレーション
 3-①.CFAEアブレーション  桶谷直也
 CFAEアブレーションとは/CFAE電位/CFAEアブレーションの成績
 
 3-②.心房内線状焼灼法  松尾征一郎
 心房内線状焼灼法とは/天蓋部線状焼灼術(roof line ablation)/僧帽弁峡部線状焼灼(mitral isthmus line ablation)
 
 3-③.GPアブレーション  山城荒平
 心房細動に対する自律神経節アブレーションとは/GPPVIとは/GPPVIの実際/心房細動器質に対するGPアブレーションの効果/成績と合併症
 
 3-④.stepwiseアブレーション 小松雄樹
 stepwiseアブレーションとは/心房細動周期計測/stepwiseアブレーションの手順
 
 3-⑤.DFアブレーション  熊谷浩司
 DFアブレーションの概念/DFアブレーションの方法/DFアブレーションの成績/DFアブレーションの役割/DFアブレーションの利点
 
 3-⑥.慢性AFアブレーションのエンドポイント  吉田健太郎,油井慶晃
 持続性AFアブレーションのエンドポイント/アブレーションの手技/アブレーションの実際/AFアブレーションにおける課題
 
 3-⑦. mitral isthmus ABLの電気生理学  宮崎晋介
 mitral isthmusとは/conduction gapの探し方/伝導ブロックの確認で注意すべき点/mitral isthmus ABLへの評価
 
 4.Non-PV fociアブレーション  井上耕一
 Non-PV fociの頻度・起源/Non-PV fociに対するアブレーションの必要性/Non-PV fociのマッピング/起源別にみたNon-PV fociアブレーション方法/Non-PV fociアブレーションの症例/今後の展望
 
 5.ATP法  山根禎一
 ATP法とは/方法/ATP法による肺静脈再伝導のメカニズム/ATP法の効果に対する議論/治療成績向上を目指して
 
 6.高用量イソプロテレノール投与法  桑原大志
 高用量イソプロテレノール投与方法/高用量イソプロテレノール投与による臨床効果/高用量イソプロテレノール投与法による術後心房細動再発予測効果/持続性心房細動に対する高用量イソプロテレノール投与の意義
 
 7.deflectable sheathの有用性  江里正弘
 deflectable sheathとは/sheathの概要・外観/sheathの持ち方,操作法/deflectable sheathを用いてのAFアブレーションの実際/僧帽弁−左下肺静脈間峡部線状焼灼(mitral isthmus linear ablation)時/deflectable sheathを用いる場合の注意点/総括
 
 8.SVC isolation  合屋雅彦
 非肺静脈起源の心房細動の頻度/上大静脈起源心房細動に対するカテーテルアブレーション/心房細動アブレーションの有効性を高めるために
 
 9.Marshal vein(PLSVC)  遠山英子,熊谷浩一郎
 心房細動のtrigger/Marshall静脈/PLSVC
 
Ⅳ. 心房細動カテーテルアブレーションと3-D mapping
 1. CARTOSOUND  中村紘規,内藤滋人
 CARTOMERGEを用いた心房細動アブレーション/CARTOSOUNDの原理/心房細動アブレーションにおけるCARTOSOUNDの使用/SOUND mergeの実際/良好なSOUND mergeを得るためのポイント/CARTOSOUNDの利点,今後の展望
 
 2. EnSite velocity  土谷 健 
 EnSite velocityとは/velocityを使用するにあたっての注意点/心房細動アブレーションでのvelocityの使用の実際/
 
 3. EnSite Array  宮本康二,土谷 健 
 EnSite Arrayとは?/EnSite Arrayを用いた心房細動アブレーションの利点/EnSite Arrayを用いた心房細動アブレーションの問題点/今後の展望
 
 CFAE-map
 4-①.CARTOR  山城荒平 
 CARTO CAFE Moduleとは/CARTOR CAFE Module設定値/CARTO CAFE Map表示方式/CARTO CFAE Moduleの利点/CARTO CFAE Moduleの欠点/CARTO CFAE Moduleのピットフォール
 
 4-②.Ensite  松尾征一郎 
 背景/マッピング方法/今後の展望
 
 5. 3-D map-Merge法  奥村恭男 
 3-D map-Merge法/術前のCT画像の撮影法/CARTOMERGEの方法/surface registration法/fast anatomical mapping(FAM)によるMerge法/CARTOSOUNDによるMerge法/Merge画像の注意点/EnSite Fusionの方法/EnSite Fusionの特徴
 
Ⅴ. トラブルシューティング:合併症への対策
 1.脳梗塞(無症候性脳梗塞を含む)  因田恭也 
 心房細動と脳梗塞との関係/発症頻度/原因/治療/予防/まとめ
 
 2.心タンポナーデ,肺静脈狭窄  藤野紀之 
 心タンポナーデ(cardiac tamponade)/肺静脈狭窄(pulmonary vein stenosis)
 
 3.食道関連合併症  佐藤大祐,全 栄和 
 食道関連合併症とは/食道神経障害/食道炎・食道潰瘍・左房−食道瘻(atrio-esophageal fistula)/予防法/食道関連合併症の対応策
 
 4.横隔神経麻痺  静田 聡 
 横隔神経の解剖学的位置/横隔神経麻痺の頻度と予後/症例提示/横隔膜神経麻痺に対する対処方法
 
Ⅵ.心房細動カテーテルアブレーションの術後管理
 1.術後抗凝固療法  山内康照 
 術直後の抗凝固療法/術後遠隔期の抗凝固療法/
 
 2.植込み型デバイスを用いたフォローアップ  横山泰廣,平尾見三 
 AFアブレーション後の評価/ペースメーカ,ICDによるAFの持続モニタリング/ILRによるAFの持続モニタリング/モニタリングの課題
 
 3.術後ATの診断(心電図)と対処法  高橋良英 
 術後ATの分類/術後ATの発症機序/術後ATの好発部位/P波形とATの起源・機序/3Dナビゲーションシステムを用いたマッピング/エントレインメント・マッピング/アブレーション/心房細動アブレーション後の再発予防
 
 4.再発予防法(ステロイドetc)  成瀬代士久,青沼和隆 
 心房細動アブレーション後の再発予防/術後ステロイド剤使用/閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)合併患者に対する持続的陽圧換気(CPAP)治療
 
 5.ハイブリッド治療  有本貴範,夛田 浩 
 カテーテル治療と抗不整脈薬の現状/カテーテルアブレーション後の抗不整脈薬/カテーテルアブレーション後のupstream療法/新しい抗不整脈薬/ハイブリッド治療への期待
 
Ⅶ.心房細動カテーテルアブレーションの効果
 1.心房細動アブレーションの効果:薬物との比較および長期成績  関口幸夫 
 カテーテル治療と薬物治療/抗不整脈薬との比較/ABL治療の長期成績/生命予後への影響
 
 2.QOL,コストパフォーマンス  深水誠二 
 心房細動アブレーションとQOL/AFによるQOL障害/AF患者でのQOL評価方法/AFに対するカテーテルアブレーションのQOL改善効果/AF治療とコストパフォーマンス/AFに対する薬物療法のコスト/AFに対するカテーテルアブレーションのコスト/QOLとコストパフォーマンスに関する今後の課題
 
 3.大規模研究からみる心房細動アブレーションの手技と効果  奥山裕司,増田正晴 
 PVI追加アブレーションの有効性/治療成績の意味するところ/線状アブレーション/complex fractionated atrial electrogram(CFAE)アブレーション/autonomic ganglionated plexus(GP)アブレーション/心房細動の機序−triggerとperpetuator−/今後の課題
 
 4.心房細動カテーテルアブレーションの限界  野上昭彦 
 長期成績の限界/持続性AFに対する効果の限界/初回アブレーションの限界/抗凝固療法中止の限界/理想的なアブレーション方法の限界/合併症に関して/今後の展望
 
Ⅷ.最新動向 -new topics-
 ニューデバイス
 1-①.Hot Balloon−高周波ホットバルーンカテーテルによる心房細動アブレーションの実際−  曽原 寛,山口善央,武田 寛,佐竹修太郎 
   肺静脈電気的隔離術の方法/高周波ホットバルーンカテーテルの特徴/通常のアブレーションカテーテルとホットバルーンカテーテルの温度分布の差/前庭部(antrum)ablationとballoon based box isolation/通常の高周波カテーテルアブレーションと高周波バルーンカテーテルアブレーションはどう違うのか?/合併症対策/今後の展望
 
 1-②.Cryo Balloon  沖重 薫 
 冷凍凝固治療法の歴史/冷凍凝固バルーンカテーテルの構造/冷凍凝固用コンソール/冷凍凝固エネルギーによる肺静脈隔離術の実際/冷凍凝固バルーンの臨床成績/合併症/今後の展望
 
 1-③.コンタクトフォース  横山勝章 
 高周波アブレーションにおけるコンタクトフォースの意義/コンタクトフォースセンサー付きカテーテル/今後の展望
 
 1-④.イリゲーションカテーテル  吉賀康裕 
 イリゲーションカテーテルのメカニズム/イリゲーションカテーテルの開発/イリゲーションカテーテルを用いた心房細動アブレーション/イリゲーションカテーテルの利点と欠点/わが国で使用可能なイリゲーションカテーテル/イリゲーションカテーテルの使用に際して
 
 1-⑤.遠隔アブレーション  江島浩一郎 
 Megneticナビゲーションシステム(Stereotaxis,米国),Roboticナビゲーションシステム(Hansen Medical,米国),今後の展望
 
 1-⑥.ニューメソッド:心外膜アプローチ  副島京子 
 経皮的心外膜アブレーション/ハイブリッドアブレーション/今後の展望
 
 2-①.心房細動アブレーションの周辺:成績に関与する因子(腎機能,性別,高血圧,CHADS2,etc)  徳田道史 
 エビデンスレベルが比較的高い再発予測因子/その他の有力な因子/今後の展望
 
 2-②.心房細動アブレーションの周辺:心不全症例へのアブレーション  大塚崇之 
 心不全症例における心房細動アブレーションの分類/心不全症例における房室結節アブレーション+ペースメーカ植込み術/心不全に対する心房細動アブレーション/総合的な心臓治療
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