人体のメカニズムから学ぶ臨床工学

呼吸治療学

呼吸治療学

■監修 磨田 裕

■編集 大塚 将秀
相嶋 一登

定価 6,160円(税込) (本体5,600円+税)
  • B5判  316ページ  2色,イラスト150点,写真90点
  • 2017年3月31日刊行
  • ISBN978-4-7583-1714-6

臨床工学の呼吸治療領域について,正常の生理,解剖,病態生理から業務とトラブル対処法までを学べる1冊

本書は臨床工学技士養成校の学生さんを対象としたサブテキストである。
臨床工学の呼吸治療領域では,機器の理解も重要だが,患者さんがもつさまざまな疾患・病態などの背景を理解する必要がある。呼吸に関するメカニズムをしっかり押さえて,呼吸治療業務の学習に臨めるように,図版を多数用いて解説。
また,欄外に「用語アラカルト」や「補足」を設け+αの知識を掲載するとともに,豊富な図表を用いて視覚的にも理解しやすいレイアウトとなっている。さらに,一通り学習した後,きちんと知識を習得できたかどうか確認するための「まとめのチェック」が章末に設けられている。
ぜひ,本書を通じて臨床にもつなげられる臨床工学の知識を身につけてほしい。


序文

監修の序

 30年前,臨床工学技士法が制定された。以来,多くの臨床工学技士が臨床の場で活躍している。この間,医療現場では,新しい機器の使用,新しい治療法の導入など多くの進展があった。臨床工学技士の主たる業務の一つである呼吸治療の領域においても同様である。今ある高度かつ複雑な医療機器は現場の医師,看護師だけではとても使いこなせるものではない。こうした背景で臨床工学技士はその専門性を発揮して多くの医療スタッフとともに高度医療を支えている。
 このたびメジカルビュー社から『人体のメカニズムから学ぶ臨床工学 呼吸治療学』が発刊される運びとなった。呼吸治療には酸素療法,人工呼吸療法,ECMOなどがある。本書はこれらを理解しやすいように,人体の構造・働きに加え病態について説明されている。そして例えば人工呼吸器はどのように作用し,どのような効果を期待しているのか,そして同時に使うモニタ,さらには適用したときの有害事象などについても述べられている。これらは教室の講義でも聞くと思うが,講義で担当講師が伝えられる内容には限界がある。このような状況において,本書は「あのときの話はこれなんだ」というように理解を助けてくれる。
 このように本書は学生のための参考書として企画され,豊富なイラストなどが理解の一助となっている。しかもその内容は多岐に渡るので,学生だけでなく現役の臨床工学技士の日常臨床においても十分に活用でき,さらには若手医師,看護師などにとっても参考になる。また,「補足」「用語アラカルト」というミニ解説があり,これらも学習の手助けになる。ここで学んだ事柄が将来の臨床現場で生かされて,そしてこれからの質の高い医療の発展につながることと確信している。
 最後に,限られた時間で執筆してくださった全国の多くの先生方,そしてメジカルビュー社 編集部 小松朋寛氏にこの場を借りて深謝申し上げます。

2017年2月
磨田 裕
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編集の序

 本書は,臨床工学技士を目指して勉強する学生が,理解を深めることに特化して編集された副読本シリーズの中の呼吸治療編です。
 呼吸治療に関する参考書は数多く発売されていますが,その多くは看護師向けで臨床工学技士向けではありません。さらに,学生向けに作られたものは皆無に等しい状況です。臨床工学技士と看護師では得手不得手の分野が異なるので,臨床工学技士やその卵に対して解説する文章は,看護師に対する解説とは異なるものでなければなりません。本書では,特にこの点に留意して編集しました。
 各章はその分野に造詣の深い現役の先生方に執筆をお願いしましたが,「臨床工学技士を目指す学生が理解しやすいように記述する」という本書の編集方針を貫くため,執筆依頼時に通常より多くの注文をつけさせていただきました。編集段階でも多くの修正をお願いしました。その甲斐あって,当初の目的を達成できる本に仕上がったと自負しています。
 本書は,できる限りイラストを取り入れて直観的に理解できるように努めました。また,本文とは別に「補足」「用語アラカルト」「One Point Advice」を設け,理解を助ける工夫をしました。勉強したい項目を開いたら,まずイラストとその見出しを見てください。これだけでもポイントがかなり頭に入るはずです。次に本文を読み,解らない言葉は「用語アラカルト」で解決してください。さらに興味を持った方は「補足」を読むと関連する知識を深めることができます。各章の最後にある「まとめのチェック」は,知識が身に付いたかどうかを確認するために役立ちます。試験前は,イラストを見ただけでその章の重要ポイントが頭に浮かんでくるようなら準備完了です。さらに「Point!!」や「まとめのチェック」で最終確認してください。
 呼吸治療や人工呼吸療法は生命維持に重要な治療ですが,苦手とする方も多いようです。本書が苦手意識を払拭し,患者さんに安全で有効な治療を提供する基盤として役立てば幸いです。

2017年2月
大塚将秀
相嶋一登
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目次

Chapter 1 人体のメカニズム 
 01 呼吸器系の解剖 
  肺の外観
  気道系の解剖
  まとめのチェック
 02 換気と換気メカニクス
  換気運動と換気
  換気メカニクス
  まとめのチェック
 03 ガス交換
  ガス交換
  まとめのチェック
 04 死腔とシャント 
  換気量と換気血流比の不均一
  まとめのチェック
 05 循環との相互作用 
  自発呼吸が循環に与える機械的影響
  陽圧人工呼吸や気胸が循環に与える機械的影響
  心拍出量と酸素運搬
  呼吸と肺循環
  酸素解離曲線
  肺高血圧症
  慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  過換気症候群
  まとめのチェック
 06 呼吸の調節 
  呼吸ニューロン群
  化学受容器
  物理的受容器
  二酸化炭素に対する呼吸調節
  換気を止めていられる限界
  慢性呼吸不全患者での呼吸の調節
  まとめのチェック
  
Chapter 2 呼吸治療領域の基礎知識と基本業務指針 
 01 呼吸治療における臨床工学技士の業務と責任 
  はじめに
  呼吸治療とは
  臨床工学技士は呼吸治療業務にどのくらい携わるか
  臨床工学技士の効果
  呼吸治療領域の臨床工学技士が要件に含まれる診療報酬
  呼吸治療における臨床工学技士の業務と責任
  まとめのチェック
 02 呼吸治療関連機器の保守点検 
  人工呼吸器の保守点検
  人工呼吸器以外の呼吸治療関連機器の保守点検
  保守点検や修理の記録
  まとめのチェック
 03 人工呼吸器の構造と原理 
  人工呼吸器の基本構成
  まとめのチェック
 04 気道管理の基本 
  換気状態の把握の基本
  呼吸のモニタ
  気管挿管されていない患者の気道管理
  気管挿管時の気道管理
  気管挿管されている患者の気道管理
  まとめのチェック
 05 鎮痛・鎮静・せん妄予防 
  はじめに
  鎮痛
  鎮静
  せん妄
  まとめ
  まとめのチェック
 06 人工呼吸関連の合併症(VAP,ICUAW) 
  人工呼吸器関連肺炎(VAP)
  ICUAW
  まとめのチェック
 07 人工呼吸器からのウィーニング,抜管 
  ウィーニングとは
  まとめのチェック
 08 人工呼吸器のトラブルとその対応 
  はじめに
  人工呼吸管理中のトラブル事例と対応
  トラブルを未然に防ぐための対応と臨床工学技士の責務
  まとめのチェック
  
Chapter 3 呼吸治療の対象となる疾患の解剖・生理と処置で使用される医療機器の構造・役割 
 01 急性呼吸窮迫症候群(ARDS) 
  急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の診断基準,病態,原因
  ARDSに対する人工呼吸管理(肺保護換気)
  1 回換気量の設定
  PEEPの設定
  ARDSに対する呼吸管理で用いられる換気モード
  まとめのチェック
 02 気管支喘息 
  気管支喘息の病態,原因,診断基準
  喘息に対する人工呼吸管理
  喘息発作に対する薬物治療と効果判定
  まとめのチェック
 03 慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪 
  COPDの病態生理
  COPDに対するNPPVの適応と設定
  COPDに対する人工呼吸管理
  在宅酸素療法(慢性期呼吸管理)
  まとめのチェック
 04 術後呼吸管理 
  術後呼吸管理の概要
  消化器術後
  心臓血管外科術後
  術後肺炎
  まとめのチェック
 05 神経筋疾患と在宅人工呼吸 
  神経筋疾患の病態生理
  在宅人工呼吸療法の導入と管理
  神経筋疾患に対するNPPV療法
  まとめのチェック
 06 血液ガスと酸塩基平衡 
  酸素と二酸化炭素
  血液ガス分析とその正常値
  低酸素血症と高二酸化炭素症
  酸塩基平衡とその障害
  まとめのチェック
  
Chapter 4 その他の呼吸治療で使用されるおもな医療機器 
 01 非侵襲的陽圧換気(NPPV)のしくみと取り扱いの注意点 
  NPPVのしくみ
  NPPVの構造
  マスクの種類と特徴
  NPPVの設定項目と注意点
  NPPVのモードと注意点
  NPPVの使用上の注意点
  まとめのチェック
 02 酸素療法器具のしくみと取り扱いの注意点 
  酸素療法とは
  低流量システム
  高流量システム
  酸素濃縮器の構造と種類
  まとめのチェック
 03 ハイフローシステム 
  はじめに
  構造
  インターフェイス
  ハイフロー療法の効果と適応
  まとめのチェック
 04 加温加湿器のしくみと取り扱いの注意点 
  はじめに
  加温加湿を学ぶために必要な温湿度の表記
  健常な人の鼻咽頭から肺における温湿度関係
  粘膜線毛運動機構
  加湿器の種類としくみ
  加温加湿器の利点・欠点
  加温加湿器の取り扱いの注意点
  まとめのチェック
 05 人工鼻のしくみと取り扱いの注意点 
  目的・原理
  フィルタ機能付き人工鼻
  加湿補助装置
  在宅人工呼吸療法
  人工鼻使用中の適切な加湿
  人工鼻の注意点
  人工鼻と加温加湿器の比較
  まとめのチェック
 06 パルスオキシメータのしくみと取り扱いの注意点 
  パルスオキシメータとは
  SpO2とは
  パルスオキシメータでわかること
  パルスオキシメータにおける測定トラブル
  まとめのチェック
 07 カプノメータのしくみと取り扱いの注意点 
  カプノメータの特徴
  カプノメータのしくみ
  PETCO2とPaCO2の関係
  カプノグラム
  カプノグラムの異常
  人工呼吸器回路のトラブル
  人工呼吸中の異常波形
  カプノメータを有効に使うために
  カプノメータの応用
  非挿管時のカプノメータ
  最後に
  まとめのチェッ
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