日本医師会生涯教育シリーズ

アレルギー疾患のすべて

アレルギー疾患のすべて

■監修 足立 満
斎藤 博久

■編集 小川 郁
片山 一朗
山口 正雄

定価 6,050円(税込) (本体5,500円+税)
  • B5判  368ページ  2色(一部カラー),イラスト60点,写真60点
  • 2016年7月19日刊行
  • ISBN978-4-7583-1775-7

日本医師会生涯教育シリーズを単行本化。アレルギーすべてを解説!

アレルギー疾患発症のメカニズムから検査,診断,治療まで全体を網羅し,アレルギー疾患の診療に必要なエッセンスが詰まった1冊!


序文



 アレルギー疾患にかかわる診療科は,内科,小児科,耳鼻咽喉科,皮膚科,眼科など幅広い分野に及ぶ.よって医療にかかわる多くの医師が一度ならず遭遇する疾患であり,さらに乳幼児から高齢者まで全年齢層にわたり罹患する可能性のあるcommon diseaseとして捉えるべき慢性疾患である.
 わが国においても,アトピー性皮膚炎,食物,花粉やハウスダストなどによるアレルギーに悩む人が増加し,メディアでは本日の花粉情報も発表されるほどである.徴候は,軽微なものから命を落としかねない重篤なものまでさまざまあるが,軽微であっても著しくQOLを低下させ,国民にとっては身近かつ関心の高い疾患の1 つである.したがって,早急かつ正確な診療を行うことが医師に求められている.
 アレルギーの原因物質は生活環境中に多く存在するため,生活習慣や生活環境がアレルギー疾患の発症,増悪に多大な影響を及ぼす.そして,発症,増悪,治療反応性には,個体の遺伝子と環境因子の相互反応が深くかかわっていることが分子レベルで解明されつつある.また,基礎免疫学の進歩がアレルギー疾患に応用され,新たな治療が可能になってきている.
 本書は,アレルギー疾患発症のメカニズムから検査,診断,治療まで全体を網羅し,アレルギー疾患の診療に必要なエッセンスが詰まった1冊に仕上がっている.日常診療に心血を注いで当たっている先生方の,少しでもお役に立てば幸いである.
 最後に,本書の企画から刊行までご尽力いただいた,監修の足立 満先生,斎藤博久先生,編集の小川 郁先生,片山一朗先生,山口正雄先生,そしてご執筆いただいた多くの先生方に深謝申し上げる.

平成28年6月
日本医師会会長
横倉義武
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監修・編集のことば
 
 アレルギー疾患は,本来無害な抗原(アレルゲン)を排除しようとして起こる過剰な免疫反応であるアレルギーを基本病態とした疾患で,日常的遭遇確率の高い喘息,アレルギー性鼻炎,蕁麻疹,アトピー性皮膚炎,アナフィラキシー反応などがある.
 現在,先進国におけるアレルギー疾患罹患率は30〜50%ときわめて高率となっており,わが国も同様である.かつ,春にはスギ・ヒノキ花粉症の大量の発症・増悪は,国民病的な様相を呈しており,増加する食物アレルギーやアナフィラキシーも大きな社会的問題となっている.
 また,多くの軽症症例の中に重篤なアレルギー疾患症例も含まれ,その対応を担うのはまず第一線のかかりつけ医である.わが国ではアレルギー疾患の多くは,それぞれの疾患の専門学会が診断と治療のガイドラインを作成している.これらのガイドラインはそれぞれ改訂を重ね,英文化されているものは国際的にも評価が高い.しかしそれらのガイドラインはかなり専門的であり,一定の専門的知識なしにはやや読みづらく,詳細な内容であるために多少長い.また各アレルギー疾患のガイドラインは10種類以上あり,そのすべてを読み,診療に利用することは実際上困難である.本書のねらいはこれら多くのアレルギー疾患の診断・治療ガイドラインのエッセンスを分かりやすく解説することである.
 本書は主要なアレルギー疾患の疫学,病態,そして症状,診断基準,治療方針,専門医への紹介のタイミングなどを第一線の先生方が明日からの診療にすぐ役立つよう執筆されていて,きわめて実践的かつ学術的にもレベルの高い内容であるといえる.
 本書がかかりつけ医の先生方の診察室で常に必要とされ,患者さんのQOL・ADLの改善に貢献できることを期待している.

平成28年6月
監修・編集者を代表して
足立 満
斎藤博久
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目次

カラー口絵
 アレルギー疾患発症のメカニズム  斎藤博久
 アナフィラキシーの病態  山口正雄
 気管支喘息の病態  相良博典
 アレルギー性鼻炎のメカニズム  小川 郁
 アレルギー疾患の身体所見  室田浩之,片山一朗

序  横倉義武
監修のことば  足立 満,斎藤博久
監修・編集・執筆者紹介

Ⅰ.免疫・アレルギーとは
 アレルギー疾患発症のメカニズム  松本健治
 アレルギー疾患を診るために必要な免疫の知識概論
  自然免疫—Toll様受容体,PAMPs  長瀬洋之
  自然リンパ球  浅野浩一郎
  獲得免疫—抗原提示細胞  本田哲也,椛島健治
  獲得免疫—ヘルパーT細胞と制御性T細胞  中島裕史
  IgEおよびその他の免疫グロブリン  岡山吉道
  アレルゲン免疫療法のメカニズム  岡本美孝
  アレルギーマーチのしくみ  下条直樹
 アレルギーとは
  アレルギー,アナフィラキシー,アトピーの概念  善本知広
  アレルギーの分類—Coombs分類  山口正雄
 アレルギー疾患に関わる細胞と分子
  環境アレルゲン  高井敏朗
  食物アレルゲン  伊藤浩明
  アレルギー疾患に関連する遺伝子  玉利真由美,広田朝光
  サイトカイン,ケモカイン,接着分子  森田英明,松本健治
  マスト細胞,好塩基球  岡山吉道
  好酸球,好中球,その他の炎症細胞  永田 真
 アレルギーに関わる各組織の特性
  上気道  岡野光博
  結膜組織のアレルギー反応の特殊性  海老原伸行
  下気道—気道構成細胞  玉置 淳
  皮膚—経皮感作の重要性  佐藤貴浩
  消化器  宇理須厚雄

Ⅱ.アレルギー疾患の診かた
 内科  興梠博次
 小児科  藤澤隆夫
 耳鼻咽喉科  岡本美孝
 眼科  高村悦子
 皮膚科  加藤則人

Ⅲ.アレルギー疾患の検査法概論
 原因抗原検査法  佐野晶代,松永佳世子
 病理学的検査法  岡 輝明
 画像診断  小山 貴
 機能的診断法  滝澤 始
 呼気検査  松永和人

Ⅳ.アレルギー疾患の治療総論
 抗原回避・除去  太田伸男
 薬物療法  松本久子
 アレルゲン免疫療法  後藤 穣
 アレルギーの予防  黒野祐一

Ⅴ.アレルギー疾患各論
 成人喘息
  疫学  斎藤純平,棟方 充
  病因  森 晶夫
  成人喘息の診断,重症度の判定  山内広平
  鑑別診断  岩永賢司,東田有智
  急性発作の重症度と対応する治療  大田 健
  喘息の長期管理  一ノ瀬正和
  治療上の注意点  大林浩幸
  高齢者の喘息  堀口高彦,近藤りえ子
  咳喘息  新実彰男
  アスリート喘息 土肥美智子
  重症喘息  横山彰仁
   アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)  谷口正実
   アレルギー性気管支肺真菌症(ABPM)  松瀬厚人
   好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧Churg-Strauss症候群)  谷口正実
   喘息・COPDオーバーラップ症候群(ACOS)  橋本 修
  GERD  土橋邦生
 小児喘息
  疫学  赤澤 晃
  病因  下条直樹
  喘息の診断,重症度  荒川浩一
  鑑別診断  望月博之
  急性発作の重症度と対応する治療  吉原重美
  喘息の長期管理,重症度と対応する治療  勝沼俊雄
  乳児期の喘息と喘鳴  足立雄一
  小児期の喘息  徳山研一
  思春期の喘息  松原知代
 アレルギー性鼻炎
  季節性アレルギー性鼻炎  大久保公裕
  通年性アレルギー性鼻炎  増山敬祐
  好酸球性副鼻腔炎  野中 学
  好酸球性中耳炎  飯野ゆき子
  喉頭アレルギー  内藤健晴
 アレルギー性結膜疾患  内尾英一
 アトピー性皮膚炎
  小児のアトピー性皮膚炎  荒川浩一
  成人のアトピー性皮膚炎  片山一朗
 接触皮膚炎  横関博雄
 蕁麻疹,血管浮腫,物理アレルギー  片山一朗
 食物アレルギー
  疫学  今井孝成
  病因  柘植郁哉
  診断,重症度の判定  高橋亨平,柳田紀之,海老澤元宏
  重症度と対応する治療  近藤康人
  食物依存性運動誘発アナフィラキシー  森田栄伸
  経口免疫療法  佐藤さくら,海老澤元宏
  新生児―乳児消化管アレルギー  野村伊知郎
  アニサキスによるアレルギー  藤本和久,佐伯秀久
 口腔アレルギー症候群,ラテックスアレルギー
  口腔アレルギー症候群  藤枝重治,大澤陽子,森川太洋
  ラテックスアレルギー  矢上晶子,松永佳世子
 薬物アレルギー
  NSAIDアレルギー  谷口正実
  抗菌薬  山口正雄
  ヨード造影剤  林 宏光
  抗がん剤  井上雄介,相原道子
  局所麻酔薬  四宮 俊,永田 真
  ワクチン  長尾みづほ
  血清病  木村佳貴,河野 肇
  Stevens-Johnson症候群(SJS),中毒性表皮壊死症(TEN)  小豆澤宏明
  薬剤性過敏症症候群  阿部理一郎
 アナフィラキシー
  疫学  今井孝成
  病因  伊藤節子
  診断,重症度の判定  高橋亨平,柳田紀之,海老澤元宏
  鑑別診断  福冨友馬
  重症度と対応する治療  赤澤 晃
  長期管理と対応する治療  宇理須厚雄
  食物によるアナフィラキシー  伊藤節子
  薬物によるアナフィラキシー  中村陽一
  ハチ毒によるアナフィラキシー  平田博国
  術中アナフィラキシー  光畑裕正
  エピペン® の使い方の実際  吉原重美
 昆虫アレルギー
  ダニ  釣木澤尚実,押方智也子,齋藤明美
  ユスリカ  中川武正
  虫刺症  夏秋 優
  ゴキブリ  堀口高彦,近藤りえ子
 職業性アレルギー疾患
  職業性喘息  土橋邦生
  職業性アレルギー性鼻炎  内藤健晴
  職業性アレルギー性皮膚疾患  松倉節子
 その他のアレルギー
  過敏性肺炎  稲瀬直彦
  好酸球性肺炎  杉山幸比古
  化学物質過敏症  中村陽一

Ⅵ.アレルギー疾患:治療の最新トピックス
 内科
  喘息における生物学的製剤の現況と今後の展望  松山崇弘,高木弘一,井上博雅
  気管支サーモプラスティ  岩永賢司,東田有智
 小児科
  食物アレルギーの予防研究―ピーナッツ・卵アレルギーなど  大矢幸弘
 耳鼻咽喉科・眼科
  舌下免疫療法  藤枝重治,吉田加奈子
  スギ花粉症治療米  川内秀之,高岩文雄,高木英典
 皮膚科
  スキンケア介入によるアレルギー疾患の予防  大矢幸弘
 その他
  γグロブリン大量療法  谷口正実
  先発品と後発品薬物の添加物の違い,注意すべき点  渡邉直人

Ⅶ.アレルギー疾患の将来展望
 内科  大田 健
 小児科  西間三馨
 耳鼻咽喉科  大久保公裕
 眼科  内尾英一
 皮膚科からみたアレルギー疾患治療の展望  片山一朗

特別寄稿 IgE発見の経緯  石坂公成
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