脊椎脊髄外科ビデオライブラリー
［Web動画付］

序

　私が和歌山医大脳神経外科 准教授であった2009年に，『脊椎脊髄疾患 診断と治療ガイド』を，そして開業１年後の2012年に『脊椎脊髄外科サージカル・テクニック』を出版いたしました．それらの締めとして，第37回日本脊髄外科学会を主宰した2022年に，この『脊椎脊髄外科ビデオライブラリー 経験すべき手術37』を作製させて頂きました．
　前書でも述べましたが，日本においては，高齢化とともに，脊椎脊髄疾患数はうなぎ登りに増え続け，脳神経外科でもない，整形外科でもない脊椎脊髄外科の専門医の需要が高まっています．それに反して，専門医が脊椎脊髄疾患の手術を基本からみっちり学べる医療施設が少なく，実際の現場で習得するには難しい一面があります．診察や診断はなんとかできても，手術ができない，どんな手術が最適なんだろう？
　これは，由々しき問題であります．
　そんな脊椎脊髄外科医の手術治療の手助けとなるよりわかりやすい親切丁寧なビデオ教科書を，前々回，前回お手伝い頂いた朝本俊司 先生，川西昌浩 先生，川本俊樹 先生と，さらに新鋭の佐々木学 先生をお迎えして，三たびタッグを組み作製しました．
　前書出版後，多くの先生から「手術ビデオが欲しい」さらに「チャンピオンデータではなく実際の手術をみたい」などのご要望を頂きました．そのお言葉を真摯に受け止め，本書を基本的手術つまり「脊椎脊髄外科医のための手術入門書」というコンセプトで作製するにあたり，若手指導医に日々の手術をそのままお見せするのが最善であると5人の意見が一致しました．
　従いまして本書は，時間の許す限り実際に即した手術をお見せしようと努めております．そのために手術指導の先生を日本脊髄外科学会の指導医に限定しておりますが，必ずしもその先生がその手術の第一人者ではないという風にして，実際の臨場感あふれる手術現場を再現しております．また，本書は脊椎脊髄外科の頻度の多い重要な手術についての内容がほとんどとなっており，希少な疾患は他の文献に委ねることとし，脊椎脊髄外科医がその基本的な手術法を自ら学べるテキストに仕上がっております．われわれ，編集サイドの意向をご理解のうえ，ご了承頂けたらこの上ない喜びであります．
　
　本書が，全国の脊椎脊髄外科医の座右の書となり，手術治療の手助けとなれますように心から願っております．

2022年9月
編者を代表して
今栄信治