外反母趾

病態を理解し,正しい治療選択ができる

外反母趾

■編集 須田 康文

定価 8,800円(税込) (本体8,000円+税)
  • B5判  250ページ  2色,イラスト200点,写真100点
  • 2019年11月17日刊行
  • ISBN978-4-7583-1878-5

外反母趾を単独で取り上げた本邦初の書籍!

外反母趾を単独で取り上げた本邦初の書籍が登場。
母趾の痛みだけではなく,他の足指の痛みや,歩きにくさといった機能の問題にも触れ,症状・機能障害・治療について「なぜそうなるのか」「なぜその治療を行うのか」の根拠を明示。治療については,運動療法,装具療法,手術をまんべんなく解説。特に手術は各術式を得意とするエキスパートが担当しており,日々の診療に活かせる一冊。


序文

 外反母趾は成人のおよそ30%に認められる最もポピュラーな足の変形で,日本人における頻度も欧米並みであることが最近の疫学研究で明らかとなってきました。中高年以降の女性に多いとの認識はこれまでと同様ですが,男性における発生頻度も従来思われていた以上であること,若年者にも少なからず発生することから,今や外反母趾は国民病と言っても過言ではありません。もちろん無症候例も少なくありませんが,母集団が大勢であるなか,マスメディアに取り上げられる機会も増え,整形外科外来を受診される患者さんの数は年々増加している印象です。症状は足部の痛みが主体ですが,その部位は母趾だけではなく,母趾から離れた足底部や足背部に及ぶことや,歩きづらい,歩行が安定しないなどの機能障害,痛みはないが将来が不安,靴が壊れて困るなど多岐にわたります。こうした多種多様な症状に対応するためには,その背景にある病態を的確に把握することが大切です。
 近年,日本を中心とした外反母趾に関する臨床および基礎的研究の発展は目覚しく,その病態を三次元的により詳細にとらえることが可能となってきました。そして,その成果は外反母趾の治療成績の向上へとつながりつつあります。また,これまでの医療側の客観的評価法に加えて患者立脚型評価法が確立されたことで,治療効果の判定が医療側,患者側双方から行われる新たな時代へと入ってきました。新元号である令和を迎え,新たな外反母趾診療の幕開けに相応しい日本人による外反母趾の教科書の登場が,今こそ求められています。
 こうした背景の下,本書『外反母趾 病態を理解し,正しい治療選択ができる』が企画されました。大項目として,「必須基礎知識」「診断と評価」「治療」の3つを挙げています。外反母趾の病態,診断,治療の概略から,より専門的な各論までを解説しています。また,日常診療で遭遇する機会の多い外反母趾併存症,小児外反母趾,スポーツ選手の外反母趾については,日々の臨床の参考にしていただけるよう症例提示と診断治療に至るプロセスが解説された「特殊な症例」の項目を設けました。
 各項目の執筆は,外反母趾の臨床,研究に第一線で活躍されている先生方に担当いただきました。そのため,各項目ともとてもわかりやすく記述され,またところどころに専門家ならではの診療のコツが組み込まれているため,説得力のある内容の濃いものとなっています。ちまたではインターネットをはじめ,外反母趾に関する不確かな情報が散乱しています。本書の中身は本物です。患者さんに正しい情報を提供する一助としていただければ幸いです。
 本書を,地域医療に従事されている先生方の参考書として,足の外科を目指す若手の先生方の入門・専門書として,また普段から外反母趾診療にたずさわっておられる先生方の知識の整理箱として,末永く活用いただけますことを切に願っております。

2019年10月
国際医療福祉大学塩谷病院 病院長
須田康文
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目次

part Ⅰ 必須基礎知識
 外反母趾診療に必要な解剖  生駒和也
  母趾MTP関節における骨組織
  母趾MTP関節における靱帯組織
  母趾MTP関節における腱組織
 病態:総論  伊東勝也,田中康仁
  外反母趾の要因
  外反母趾における疼痛の原因,症状
  外反母趾進行のメカニズム
 病態:単純X線  奥田龍三
  撮影法
  角度計測法
  種子骨偏位評価法
  第1中足骨頭外側縁の形状
  外反母趾に併存している前足部疾患
 病態:CT画像  窪田 誠
  荷重位3D-CTでの外反母趾と健常足の比較
  荷重位と矯正位での比較
  母趾列の過剰な可動性(hypermobility)
  外反母趾における骨配列の三次元的な変化
 病態:外反母趾に合併する隣接趾変形  小久保哲郎
  外側趾MTP関節の解剖
  外側趾MTP関節の機能
  外反母趾に伴う変形の要因
 病態:胼胝  高山かおる
  はじめに
  角質増生の機序について
  胼胝・鶏眼の好発部位
  鶏眼・胼胝の処置
  おわりに
 外反母趾の発生要因  渡邉耕太
  外的要因
  内的要因
 外反母趾のバイオメカニクス  常徳 剛
  バイオメカニクスとは
  足のバイオメカニクス
  正常足のバイオメカニクス
  外反母趾のバイオメカニクス
  まとめ
 外反母趾の疫学  西村明展
  外反母趾の評価法と定義
  外反母趾の頻度
  外反母趾の危険因子
  外反母趾と靴の関係
  外反母趾が身体機能に与える影響

part Ⅱ 診断と評価
 臨床症状:痛み  山口智志
  変形による痛み
  変形性関節症による痛み
  その他の要因
 臨床症状:機能障害  須田康文
  外反母趾の機能障害
  外反母趾術後の機能回復
 画像診断  野澤大輔
  単純X線像の撮影法
  X線学的角度計測法診断
  外反母趾の重症度
  種子骨の画像診断
  足趾変形
  その他の画像診断
 診断におけるチェックポイント  池澤裕子
  はじめに
  チェックポイント1:患者の訴えは何か?
  チェックポイント2:患者の背景を知る
  チェックポイント3:靴を見る
  チェックポイント4:全身状態・歩容をみる
  チェックポイント5:足の診察
  チェックポイント6:画像検査
  チェックポイント7:診断からの治療方針
  おわりに
 評価基準:JSSFスケールとSAFE-Q  仁木久照
  はじめに
  JSSFスケール
  SAFE-Q

part Ⅲ 治療
 治療法の選択  大内一夫
  治療法選択のために必要な足の診察
  外反母趾治療法の選択
  手術療法を行うことが多い症状,訴え
  外反母趾矯正術術式選択のフローチャート
  外反母趾に合併する疼痛・変形に対する保存療法
  外反母趾に合併する疼痛・変形に対する手術療法
 靴の指導  青木孝文
  外反母趾用の靴の現状
  外反母趾の痛みの種類
  靴作成にあたっての要点
  インソールの役割
  後足部にも注意!
  まとめ
 装具療法  羽鳥正仁
  はじめに
  現在使われている装具の問題点
 装具治療をするにあたっての要点
  筆者らの装具を用いた治療
 運動療法  佐本憲宏
  はじめに
  外反母趾に対する運動療法
  ストレッチなど他動運動を主体とした運動療法
  まとめ
 術式の選択  高尾昌人,重城保之
  バニオン切除術(banionectomy)
  軟部組織に対する術式 (modified McBride法)
  骨切り術
  関節固定術
  切除関節形成術(Keller法)
 近位骨切り術  安田稔人
  一般的な近位骨切り術の適応と手術法
  当院の術式の紹介
  後療法
 遠位骨切り術  吉村一朗
  はじめに
  Chevron法
  Mitchell法
  術後後療法
  合併症
 骨幹部骨切り術  谷口 晃
  手術適応
  術式
 水平骨切り術
  水平骨切り術の術式
 Lapidus変法の手術適応と手術法  門田 聡
  手術適応
  術式
  実際の術式
 外反母趾低侵襲手術  関 広幸
  低侵襲手術の適応と手術法
  重度外反母趾例に対するDLMO法の応用
 術後リハビリテーション  垣花昌隆
  術後の包交
  術後の外固定
  術後荷重・歩行
  術後装具
  運動療法
 術後合併症  金澤和貴
  はじめに
  術前診察
  術後合併症

part Ⅳ 特殊な症例
 小児の外反母趾  落合達宏
  症例提示
  初診時(3歳3カ月)
  靴インサートによる装具療法
  終診時(8歳)
  治療の考察
 アスリートの外反母趾  竹島憲一郎
  症例提示(症例1)
  病態とその特徴
  症例提示(症例2)
  診察の流れ
  治療
  まとめ
 関節リウマチに伴う外反母趾  安井哲郎
  症例提示
  治療(手術術式)
  術後
  RA足趾変形
 母趾MTP関節に変形性関節症を伴う外反母趾  大塚和孝
  症例提示
  外観
  画像所見(単純X線)
  画像所見(CT)
  術中の透視画像
  術中の外観と透視画像
  画像経過
  外観の比較
 第2MTP関節脱臼を伴う外反母趾  丸木秀行,野口昌彦
  症例提示
  画像所見
  外反母趾矯正術
  第2中足骨短縮骨切り術
  術式選択
 第2,3足根中足関節に変形性関節症を伴う外反母趾  嶋 洋明
  症例提示
  身体・画像所見
  皮切,展開
  骨棘,関節内の処置
  自家骨移植
  関節固定
  術後所見
  おわりに
 内反小趾を伴う外反母趾  寺本篤史
  症例提示
  画像所見
  治療:手術術式
  治療の考察
 外反母趾に伴う爪変形  塩之谷 香
  症例提示
  所見:左外反母趾
  治療
  考察
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