卒後5年までにマスターすべき

運動器障害理学療法 上肢・頸部

基礎から実践まで

運動器障害理学療法 上肢・頸部

■監修 寒川 美奈

■編集 三木 貴弘

定価 5,940円(税込) (本体5,400円+税)
  • B5判  320ページ  2色,イラスト180点,写真420点
  • 2022年3月31日刊行
  • ISBN978-4-7583-2079-5

卒後5年でマスターすべき運動器理学療法の評価から介入までが身につく!

卒後5年目までに習得しておくべき運動器障害理学療法の知識を,臨床経験豊富で学術的にも実績があるセラピストが指南。部位ごとに理学療法の全体像をフローチャートで示した上で,臨床で遭遇しやすく判断に迷う内容を取り上げ,思考過程やエビデンス,運動学・解剖学の知識を織り交ぜながら実践的に解説。評価手技,治療手技は実際の手順を写真付きで示し,さらに卒後5年にとどまらない内容も紹介する。


序文

監修の序

 本書は,臨床家であり,運動器障害理学療法のエビデンス構築に寄与する研究を国内外へ積極的に発信し続けている三木貴弘先生が,熱意を持って企画・編集を担当しています。本書では,卒後5 年以内の若手理学療法士の皆様へ,運動器障害に対する理学療法の評価や治療方法をわかりやすく解説されています。また,近年世界的に注目され,三木先生の研究テーマでもある生物心理社会的モデルに基づく疼痛評価や治療の重要性についても深く取り上げられており,アップトゥデートで非常に有益な情報提供がなされています。
 わが国の理学療法士は19 万人を超え(2021年度),時代の変化やニーズに合わせて職域や活動の場を広げています。そのような社会的背景から,理学療法の専門性もより細分化されてきており,運動器系理学療法分野においても同様です。2018 年には,約20 年振りに理学療法士養成に関する指定規則が変更されました。それに伴い,養成校のカリキュラムや指導者要件の変更など,理学療法士養成の課程も大きく変化しています。実習指導者は5 年以上の実務経験が必要となりましたが,三木先生や著者の先生たちが卒後5 年以内に感じた自らの経験や知見を折り込みながら,卒後5 年間において誰もが遭遇しやすく鑑別や判断に迷うような内容について広く取り上げられています。
 理学療法士免許取得後には,日本理学療法士協会の新人教育プログラムや生涯学習制度(認定・専門)など,卒後研修システムが整備されています。一方で,普段の臨床における評価や治療に関する個別的アプローチの必要性,エビデンスを基に標準化されたアプローチの重要性から,共通の知識や技術の学びも必要であることは事実です。本書は,卒業直後から臨床現場における理学療法実践のなかでの疑問や課題を,自主的に解決していくことができるよう図や写真が多用され,わかりやすくまとめられていますので,日々の臨床活動でぜひお役立てていただくことをおすすめいたします。

2022年2月
寒川美奈

-------------------------------

編集の序

 「約1万人」。この数字は,直近の5 年において1 年間で理学療法士が誕生した数です。そして2021年までに,合計で約19 万人の理学療法士が誕生しています。直近10 年では約10 万人増えており,若い世代が大部分を占めるというある意味特殊な構成になっています。

 本書は,年々増え続ける若い理学療法士を対象に,卒後5 年目までに必要な知識を整理するために企画しました。総論では,どの運動器疾患にも通じる必須の知識を中心に解説しています。例えば,どの部位でも疼痛という愁訴は上位にあがります。近年では,生物心理社会モデルに基づいた疼痛の解釈が必須であるため,そのことを踏まえて疼痛について解説しています。またエコーを含む画像所見,検査の解釈,そしてそれらを統合するための臨床推論の知識を整理しました。さらには,医療従事者として必要最低限の応急処置の知識,どの部位にも共通するストレッチや骨折後のリハビリテーション,コミュニケーションや共通意思決定の知識を整理しました。各論では,上巻では頸部および上肢に対して,最新であり王道の知識や技術を整理しています。各部位の解説の最初には,「全体像」と称して大局(big picture)をイメージしてもらうことを意識した項目を設定し,その後,より局所的に解説しています。すべてにおいて,正しい科学的根拠を土台にしつつ経験豊富な理学療法士または作業療法士の経験を踏まえて執筆していただきました。

 「卒後5年までにマスターすべき」と銘打っていますが,それは決して「若手向けの浅い知識」ではありません。理学療法士として一人前になる目安である5年までに知っておくべき重要な知識や技術に絞って紹介をしている,ということです。ですから,卒後5 年目以上の理学療法士が読んでも示唆に富む事柄が随所に存在する書籍に仕上がっています。

 理学療法士の国家資格という根を得た皆さんが,本書で理学療法士としての幹を築き,いずれ大きな花を咲かせることを心より願っております。

 最後に,監修を引き受けていただきました寒川美奈先生に深謝いたします。また,本書の発刊に向けて辛抱強くともに歩んでくださった髙橋祐太朗氏,小松朋寛氏に,この場を借りて厚く御礼を申し上げます。

2022年2月
三木貴弘
全文表示する
閉じる

目次

Ⅰ章 総論
 1 臨床推論  [吉田亮太,三木貴弘]
 2 検査の意義,解釈  [鈴木 信,三木貴弘]
 3 生物心理社会モデルに基づいた疼痛の基本的知識  [重藤隼人,三木貴弘]
 4 画像の基本的知識  [梶原侑馬]
 5 運動器エコーの基本的知識  [北川 孝]
 6 運動器疾患におけるshared decision making(共有意思決定)  [藤本修平]
 7 運動器疾患におけるコミュニケーション  [江草典政 ]
 8 骨折後のリハビリテーションの基本的知識  [眞本 匠]
 9 ストレッチングの基本的知識  [大場健裕,寒川美奈]
 10 応急処置の基本的知識  [石戸裕亮]

Ⅱ章 肩関節  [坂 雅之,鈴木彩加]
 1 肩関節障害の全体像
 2 画像所見からわかること
 3 肩関節痛の原因と増悪因子
 4 肩関節痛と可動域制限を主とする病態
 5 肩関節痛と可動域制限に対する評価,介入方法
 6 拘縮肩に対する手術と術後理学療法
 7 肩甲上腕関節異常運動を主とする病態
 8 肩甲上腕関節異常運動に対する評価,介入方法
 9 腱板損傷に対する手術と術後理学療法
 10 肩関節不安定感を主とする病態
 11 肩関節不安定感に対する理学療法評価,介入方法
 12 肩関節不安定症に対する手術と術後理学療法

Ⅲ章 肘関節  [穐山大輝,松下幸平,坂 雅之]
 1 肘関節障害の全体像
 2 画像所見からわかること
 3 肘外側痛を主とする病態
 4 肘外側痛に対する評価と介入
 5 肘内側痛を主とする病態
 6 肘内側痛に対する評価と介入
 7 肘関節可動域制限・拘縮に関連する病態
 8 肘関節可動域制限・拘縮に対する評価と介入

Ⅳ章 手関節・手指
 1 手関節・手指障害の全体像  [早﨑涼太,長南行浩]
 2 手関節の単純X線画像の評価  [早﨑涼太]
 3 手関節の骨折に対する評価と介入  [早﨑涼太]
 4 手関節尺側部痛に対する評価と介入  [早﨑涼太]
 5 手の拘縮に対する評価と解釈  [早﨑涼太]
 6 手の末梢神経障害に対する評価  [早﨑涼太]
 7 手の末梢神経障害に対する介入  [早﨑涼太]
 8 手指骨折後のリハビリテーション  [長南行浩]
 9 手指の変形に関する評価と介入  [長南行浩]
 10 腱損傷リハビリテーションの基礎知識  [長南行浩]
 11 屈筋腱損傷術後のリハビリテーション  [長南行浩]
 12 伸筋腱損傷術後のリハビリテーション  [長南行浩]
 13 狭窄性腱鞘炎に対する評価と介入  [長南行浩]

Ⅴ章 頸部・胸部  [三木貴弘,近藤 湧]
 1 頸部痛の全体像
 2 頸部痛のリスク管理
 3 上肢痛・しびれがある頸部痛の病態・評価
 4 上肢痛・しびれがある頸部痛の介入
 5 可動域制限より頸部痛が生じる原因
 6 可動域制限のある頸部痛に対する介入
 7 長時間の座位で頸部痛が生じる原因
 8 協調性障害のある頸部痛に対する介入
 9 頭痛を伴う頸部痛に対する評価・介入
 10 外傷性頸部症候群の病態とマネジメント
全文表示する
閉じる