ロボット支援子宮全摘術のABC

ロボット支援子宮全摘術のABC

■著者 井坂 惠一

定価 9,900円(税込) (本体9,000円+税)

ロボット支援下で産婦人科手術を行うための”はじめの一歩”

平成30年の診療報酬改定により,ロボット支援下手術が保険収載された。これによって婦人科におけるロボット手術件数は飛躍的に伸びている。安全かつ内視鏡よりも習得が容易であり,かつ術者の疲労も少ないため,アメリカではすでに手術の第一選択となっている。今後は日本においても有用な選択肢の一つになると考えられる。
本書は多くの術者にとってロボットを用いた最初の手術となるであろう良性の子宮全摘術に特化し,ロボットを用いた産婦人科手術のスタンダードな術式を詳細に解説している。
手術写真を基本としながら,他の書籍ではこれまでなかったロボット手術を行う術者の手の動きをウェアラブルカメラで撮影し,手の動きと術野の写真をリンクさせ,これまでの内視鏡手術の書籍では表現できていなかった手元の動きがしっかりと理解できる紙面となっており,そのうえで手技の一コマ一コマについて詳細な解説を行っている。また手元と腹腔内の動きがリンクした動画もストリーミング配信し,理解しやすさに主眼をおいたロボット手術書の「はじめの一歩」となっている。

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  • B5判  208ページ  オールカラー,イラスト30点,写真200点
  • 2019年4月29日刊行
  • ISBN978-4-7583-1759-7

序文

 “ロボット手術は,従来の腹腔鏡手術と何が違うのか?”
 頭に浮かぶ沢山の相違点からひとつだけ選べと言われるなら,迷いなくラーニングカーブ(学習曲線)が短いことを挙げる。
 “このことは,何を意味しているのか?”
 従来の腹腔鏡手術は,出血量が少なく入院日数が短いなど,多くのメリットを有することは諸家の報告より周知の事実であるが,腹腔鏡手術が導入されて二十数年になるも依然として開腹手術を超えられていないのが現状である。
 “では何故なのか?”
 開腹手術に十分修練した術者が腹腔鏡手術を1人立ちして行えるようになるには,はたしてどのくらいの修練期間を要するのか?
 腹腔鏡手術で開腹と同様の手術が行えるまでに上達するには,どのくらいの経験が必要となるのか?
 この質問のなかに解答がある。
 開腹手術に比べ,多くのメリットをもつにもかかわらず,なかなか開腹手術を超えられない腹腔鏡手術の問題点がここにある。
 腹腔鏡手術の普及に関して,その長いラーニングカーブが高いハードルとなっているのはまぎれもない事実である。筆者は,新しい発想から生まれたこの手術支援ロボット装置こそがこの問題をブレークスルーしてくれる手術の神器になりうると考える。これは,自身の経験から導いたエビデンスの低い推測ではなく,米国におけるロボット手術の急速な普及に加え,わが国においても数年で開腹手術を超えてしまった,ロボット支援前立腺摘除術にみる同様の現象から裏付けられたものである。この短いラーニングカーブこそが,ロボット手術を今までにはなかった画期的な手術方法と確信する所以である。

 本書が,新たにロボット手術の導入を考えている術者のラーニングカーブをさらに短くするうえで幾許かの助けになれば幸いである。また,ロボット手術が安全に導入され,多くの患者に恩恵をもたらすことを切に願っている。

2019年4月
井坂惠一
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目次

Part 1 ロボット手術を行うための基礎知識
 Chapter 1 ロボット手術とは
 Chapter 2 保険診療
 Chapter 3 症例の選択・適応
  適応と限界
  子宮の可動性による難易度の予測
  高度肥満症例に対するロボット手術
 Chapter 4 ダビンチの操作法
  ダビンチとは
  ペイシェントカート
  ビジョンカート
  サージョンコンソール
  基本操作
   1 スイッチ
   2 鉗子
   3 鉗子操作
  準備する機器・器具
 Chapter 5 必要な解剖
  手術を進めるうえで必要な骨盤解剖
  広間膜後葉を展開するうえで必要な骨盤解剖
 Chapter 6 術前準備

Part 2 ロボット手術を行うための準備
 Chapter 1 麻酔
 Chapter 2 患者の体位(骨盤高位)
 Chapter 3 ポート作成法
  ファーストアクセス
  トロカーの穿刺法
  ポートの設置
 Chapter 4 ドッキング法
 Chapter 5 子宮マニピュレーターの使用法

Part 3 ロボット手術の実際
 Chapter 1 全体の流れ
 Chapter 2 基本術式
  術野の展開
  広間膜後葉切開と尿管走行確認
  後腹膜腔の組織間隙(腔)の展開
  血管の単離
  靱帯の処理
  膀胱剥離
  子宮動脈の挙上
  腟壁切開と断端・腹膜縫合
 Chapter 3 助手の役割
 Chapter 4 合併症対策
 Chapter 5 高難度の症例
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