OGS NOW 15

妊娠中の手術・胎児手術 こんなときどうする?

妊娠の生理・病態理解と術式マスター

妊娠中の手術・胎児手術 こんなときどうする?

■担当編集委員 竹田 省

定価 13,200円(税込) (本体12,000円+税)
  • A4判  148ページ  オールカラー,イラスト100点,写真100点
  • 2013年8月2日刊行
  • ISBN978-4-7583-1214-1

産婦人科医として知っておくべき「妊娠中の手術・胎児手術」について,エキスパートが詳細に解説

妊娠は多くの女性に起こりうる現象であり,その間に手術が必要になった時の対処方法は産婦人科医として必要な知識である。本書は手技を中心にこれらを大変わかりやすく,さまざまな方法を紹介している。加えて,大きく取り上げられる話題ではあるがあまり成書がない胎児に対する手術もとりあげており,産婦人科に携わるものとして知っておきたい妊娠中に必要な知識が臨床的にまとめられている。経験豊富な術者による“手術のコツと注意点”を中心に,豊富なイラストでわかりやすく解説しており,手術手技の向上に役立つ1冊である。

■シリーズ編集委員
平松祐司/小西郁生/櫻木範明/竹田 省


序文

 妊娠中に他科疾患を合併した場合,妊娠継続にばかり気をとられて診断が遅れ,重症化から母児ともに重篤な状態に陥ることがある。妊娠中に発症することや顕性化することもあり,若い女性が発症する他科疾患にも精通する必要がある。産科医として,糖尿病やSLEなどの膠原病,心疾患,腎疾患などは比較的合併頻度が高いので,疑うことも比較的容易であるが,脳血管疾患,悪性腫瘍などまれな疾患は診断に苦慮することも多い。治療も薬物療法など保存治療以外にも外科的治療が必要なこともあり,妊娠中断後の手術か妊娠継続したままの手術かの難しい選択を迫られることもある。
 研修医が終了し,二度目の外勤に出ていた卒後5年目,天狗になっていた頃の苦い経験を忘れることができない。妊娠初期より“つわり”が長引き,あまり食べられない妊婦がいた。「妊娠12週〜14週を過ぎると良くなるから」と励ましながら,経過をみたが良くなったり悪くなったり,いっこうに“つわり”症状はなくならなかった。そのうち鉄欠乏性貧血がみられるようになり,型のごとく鉄剤を処方した。すると食欲はさらに悪くなり,なかなか貧血は改善されず,鉄剤を継続した。当然のごとく黒色便であった。その後,38週に正常分娩となった。たまたま年配の先生の産褥回診後,あとから呼ばれ「上腹部を触診するように」いわれた。子宮の上の季肋部に明らかに堅い腫瘤を触知した。スキルスのⅢ期であった。また,分娩後の産褥回診で乳腺腫瘤を気づき,乳癌のⅢ期だったこともある。悔しい思いがよみがえる。その後,妊娠初期から乳房ケアをルーチン化した。今なら“つわり”が長引いたり,鉄剤で改善しない貧血は,胃内視鏡を勧めるだろう。若気の至りである。
 何人もの患者さんからいろいろなことを教わった。今では大きな顔をして指導をしているが,もっと多くの学生や医師達と貴重な症例を共有することが大切と考えている。本書OGS Now No.15では「妊娠中の手術・胎児手術」について,経験豊富な先生方に診断,手術,管理について解説いただき,症例を共有できるようにした。妊娠の生理・病態を理解し,術式やその管理につきマスターしていただければと願っている。

2013年7月
竹田 省
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目次

妊婦の手術,術前術後管理    牧野真太郎ほか
妊娠中の手術の麻酔法    佐藤正規ほか
妊婦の心肺蘇生ガイドライン    加藤里絵ほか
妊娠中のIVR—総腸骨balloon occlusion法を中心に—    長田久人ほか
虫垂炎    志田 大
卵巣嚢腫・卵巣癌
 妊娠中の腹腔鏡下手術    菊地 盤
 開腹術    近藤英治ほか
子宮頸部腫瘍
 妊娠中の外科的治療    佐藤豊実ほか
 妊娠中の円錐切除    首藤聡子ほか
 帝王切開後の広汎子宮全摘術    新倉 仁ほか
妊娠時の急性腹症    平松祐司
胎児手術
 麻酔法と周術期管理    角倉弘行ほか
 胎児輸血    小澤克典ほか
 胎児胸腔—羊水腔シャント術    高橋雄一郎
 双胎間輸血症候群    左合治彦
 EXIT(ex utero intrapartum treatment)    遠藤誠之ほか
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